パニック障害の脳科学的メカニズム

2019年、脳科学的に見たパニック障害のメカニズムモデルが出されました。その説明モデルによると、特に(1)ストレスに関連した感情にかかわって働く扁桃体(へんとうたい)が活動しすぎるのと、(2)行動のコントロールにかかわる前頭前皮質がきちんと働けていないことがパニック障害の原因であるとされています。


パニック発作を繰り返すメカニズム

脳には色々な役割を持っている細胞がありますが、感情を司る部分に扁桃体というものがあります。扁桃体は特に不安や恐怖といったネガティブな感情が発生するときに活動します。

パニック障害をの人は、扁桃体がすぐに活性化しやすいと言われています。「心臓発作」や「気絶」、他にも「混雑」といったパニック発作と関連する言葉を聞くだけでも、扁桃体がすぐに活性化するほどです。この扁桃体の活性化がパニック発作の繰り返しやすさの原因と考えられています。

また、脳は一つの細胞が単独で働いているのではなく、いくつかの細胞と連結して働きます。

扁桃体の横には、記憶を司る海馬があります。例えば満員電車でパニック発作を起こした人が電車に乗ったら、「以前パニック発作が起きた状況と似た状況にだから危険だ!」ということを海馬は扁桃体に伝えます。過活動しやすい扁桃体はすぐに「生命の危機だ!」と考え、こうして再びパニック発作を起こしてしまうのです。

さらに私達の脳には感情調整に関わっている前帯状皮質と呼ばれる領域があります。パニック障害患者ではこの前帯状皮質もうまく機能していないことが報告されています(Shinら、2013年)


パニック発作を起こした場所を回避してしまうメカニズム

動物と人間で一番違う脳の部分は、頭の前のほうにある前頭前皮質という部分です。前頭前皮質は考えたり、何かを作りあげたり、コミュニケーションを取ったりといった複雑な働きを担うところです。その働きのひとつに、「不適切な反応を抑える」という役割があります。例えば、ダイエット中には甘いものを我慢すると思いますが、我慢できるのも前頭前皮質のおかげです。

パニック障害を患った人は、前頭前皮質の「不適切な反応を抑える」という役割が上手く働いていないことが分かっています。「二酸化炭素が増加したから危険!」と扁桃体が出したアラームは本来なら行き過ぎた警報ですが、それが不必要な反応として抑えることができません。

また、海馬からも「以前電車でパニック発作が起きた」という情報が前頭前皮質に危険情報を知らせてきます。正常に脳が働いていたら電車を避けようとしないのですが、パニック障害の人の前頭前皮質は扁桃体や海馬からの行き過ぎた警報を信じてしまい、電車を回避してしまうことになるのです。



それでは、何故そらとりでは、薬を使わずにパニック障害が改善されていくのか?

①「診断」即「治療」の独特のタッチワーク

②腸内環境改善によりセロトニンの増加

③身体的心理療法


①「診断」即「治療」の独特のタッチワーク

クラニオセイクラルセラピー・バイオダイナミクスの独特なタッチで、脳の深部の状態を手の平で感じ取ることができます。パニック障害の方は、大脳辺縁系のところが重く鈍く感じることが多いです。私は医者ではないので、診断も治療もできませんし、そういった言葉も使ってはいけません。ただ、クラニオやオステオパシーのタッチによって起こる現象を説明するためにあえて「診断」「治療」という言葉を使わせていただくと、「触れて状態を感じる、と同時に治癒に向かって反応が始まる」ということが起こるのです。自然治癒力が発動し始めるといっていいのかわかりませんが、感覚的にはそのような感じのことが起こりはじめます。手に平で感じていたある種の雑音が静かになれば終了で、他の箇所に移動します。


②腸内環境改善によりセロトニンの増加

パニック障害の方にセロトニンも処方されるようですが、薬以外の方で、腸内環境を整えることでセロトニンを増やすことができます。


③身体的心理療法

少し言葉も用いますが、カウンセリングとは違い、身体の感覚に寄り添いながら「耐性領域」を広げていきます。結果、例えば「電車」や「混雑」という言葉を言葉を聴いただけでパニック症状が出ていたのが大丈夫になったり、実際に電車に乗れるようにもなってきます。



もちろん、人によって、あるいは状態によって、薬を使われた方が心理療法等を受け入れやすくなる場合もあると思いますので、薬の使用を完全に否定するわけではありませんが、薬以外の方法を探されている方のご参考になれば。。



ありがとうございます。




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