進行度としては「ドール入手後」「フライトパック入手前」というあたりなので、フライトパック入手して評価が変わる可能性もあります。

■ストーリー
前作『ゼノブレイド』のどこが一番良かったと聞けば、大抵は「ストーリー」か「マップ」と答えるのではないでしょうか。
僕は「マップ派」ですが「ストーリー」もJRPGらしい熱い展開や、良い意味での裏切りなど、作品に惹きつけられた大きな要素でした。
今作では主人公がアバター化し、仲間にオンラインプレイヤーを迎えられるといった要素も追加されました。

この影響で主人公一行という一体感がなくなり、個々のキャラクターの掘り下げがしづらくなり、主人公や仲間は「仲間たちを救っていく誰か」になりました。
これは『ドラゴンクエストシリーズ』の方向性と同じなんですが、「ゼノブレイドの続編」として見ると違和感があります。
前作と比較すると圧倒的に淡々としています。
特にストーリー序盤は話に惹きつけられる部分が設定程度しかないので、序盤を乗り切れないプレイヤーも結構出ているのではと思います。
物語が進んでくると徐々に面白くなってきますが、雑な部分も多くあります。こちらは次の「世界観」で触れていきます。
■世界観
前作は世界観の作りこみや設定に矛盾を感じた記憶はないのですが、今作はおおざっぱに作られています。
メインストーリーとサブクエストで「設定の矛盾」が起きると、瞬時に冷静なこころが精神を現実へと引き戻します。
ありえないはずのことが起きたり、意味のないインフラを整えたり、設定を無視した感情の動きだったり。
そういうのがちょこちょこ出てきます。
街中で得られるサブクエストにはちょっとしたストーリーがあるのですが、サブのシナリオを担当している人はメインの設定を読み込んでいないような気がします。
正確には指揮系統がしっかりしていない気がする。
「ストーリーが進行し過ぎると受けられなくなる」ことが無さそうなのも、この問題が起きる原因のひとつかもしれません。
■マップ

マップの良さに関してはずば抜けています。
どこまでも広がる絶景は存在するだけで絵になりますし、そこを徒歩で、ドールで、フライトパックで、移動するのは非常に楽しいです。
前作の「神の体」を超えるマップが楽しくなる設定はそうそう出ないと思いますが、今作もマップには凝っていて、さまざまな「謎」があります。
あれは何であるんだろう、何でこういう風になっているんだろう、と感じさせるような場所があちらこちらに散見されます。

また、マップ全域に渡って敵の強さに偏りがないというのによく出来ているなぁと感心しました。
前作でもスタート地点付近に高レベル帯の敵がいたりしましたが、今作はそもそも「場所による適正レベル」というものがありません。
局所的に見ればもちろん適正レベルはあるのですが、少し歩けばまた違ったレベル帯の敵が存在しています。
これがゲームとして成り立つデザインは見事という他ありません。
また、徒歩には徒歩の楽しさが、ドールにはドールの楽しさがあります。
ドールが手に入ってからほとんど徒歩で移動してませんが、徒歩時代に感じていた良さとドールに乗るようになってから感じている良さは違います。
同じ道にも新たな発見があるんです。
またフライトパックが手に入ってから、新たな楽しみが広がるのかと思うとワクワクします。
行ってみたかった場所、に少しずつ行けるようになっていくのはいいですね。
ゼノブレイドのマップが好きだった人にはおすすめできるゲームです。
■親切さ

このゲームは最近のゲームとしては「親切さ」がありません。
任天堂らしくないというか、チュートリアルをクリアしても、メニューにはさまざまな謎が残っています。
それだけ色々とできるということでもあるのかもしれません。
上の画像のようなアドバイスも一度に何枚も出てくるので、言われて試して理解する前に、次の情報が入ってきて何を言われたのか忘れてしまう人も多いのではないでしょうか。
また、収集クエストでは「どこに行けば手に入るアイテムなのか」のガイドが基本的にありません。討伐クエストは敵の生息地教えてくれるんですけどね。
広大なマップの中のどこかに落ちているアイテムには間違いないのですが、収集だけを目的にしようとするとかなりの時間がかかります。
ヒントを教えてくれるNPCもたまにいるのですが、目的としているアイテムの場合は誰が教えてくれるのか、どんな収集アイテムの在処も教えてくれるのかは分かりません。
また、ゲーム序盤は「世界に引き込むための仕掛け」が必要だと思うのですが、ゼノブレイドクロスにはそれがありません。
このゲームで一番つまらないのは、起動してからの2~3時間でしょう。
そこを超えさせるための仕掛けが不足しています。
早めに辞めてしまった人には「景色いいクソゲー」という認識なんじゃないでしょうか。
■新要素『ドール』

新要素としてはドールが真っ先に挙げられますが、これは「移動の猥雑さ」を軽減してくれます。
マップが素晴らしくても「行き慣れた場所に移動する」ためにファストトラベルやドールは非常に有用です。
また、ドール入手によって行ける場所が増えていくというのも面白い仕掛けです。
そのため縦にも広いマップになっています。
ちなみにドールは思っていたよりも弱かったです。
生身より耐久力に優れているのですが、火力とコスパを考えると現状では生身が優れています。
人数分のドールと補給手段ができてくればドールが主体になりそうですが、ドール搭乗用のスキルが少ないので、ドールはあくまでも非常時用になりそうな気がします。
メタルマックスシリーズの職業のように、「乗って戦う人」と「生身で戦う人」とでスキルの住み分けがあったらより楽しそうですね。
■新要素『クラスチェンジ』

クラスチェンジ出来るようになり、主人公の活躍の幅が広がりました。
クラスチェンジは戦闘中などを除いていつでも可能なので、相手や戦略によってクラスを変えるということができます。
ただ、変えれば変えるだけクラスの成長が遅くなり、装備もそれだけ必要になるので難度は上がります。
経験値を無駄にしないようにしていれば、クリアするまでに3系統+派生3系統のうち、半分以上は極められるのではないでしょうか。
レベル30手前で基本3種と1系統マックスになりそうなので、幾つか試しながらプレイしていけそうです。
1つ極めるまでの時間はそこまで長くありません。
今回バトルポイントというスキルやアーツを鍛えるためのポイントの入手手段が限られているので、後生大事に1ポイントたりとも使っていません。
今の入手ペースだとすべてをマックスにする量が無さそうなので、おそらく「どのクラスでも間違いなく使えるスキル」が出てくるか「倒すまでのレベル上げがかなり必要になる敵」が出てこないと強化を始めません。
オンラインだと入手機会無限にあるようです。
このポイントが足りない感じは好きな人と嫌いな人いるんじゃないでしょうか。個人的には好きです。

という感じでざっくりとクリア前のゲームをレビューしました。
好きなゲームなのですが、前作との比較、序盤の何を楽しみにしたものかという雰囲気、現状までのストーリーの薄さなど、気になるところもあるのでおすすめしにくいゲームです。
個人的には好き! だけど、おすすめはしない。
そんなゲームです。
でも、マップ楽しみたいっていう人にはおすすめです。
