月に2、3回は本指名で

来てくださっていたお客さん

数ヶ月前からパッタリと来られなく

なりました


本指名はいつまでも続かないもの

またねと笑顔で帰って行かれても

それが最後になったということは

よくあるのです



私の好きなものを毎回差し入れに

持って来てくれて

私の喜ぶ姿が見たくて

時には食べきれないくらいの量を

くださったりしました


けれどその本指さんが

私に望むことには

決して、応えられませんでした



個人的に会って欲しい

自分だけのものになって欲しい

触って欲しい

触らせて欲しい

もっと深い関係になりたい


他のお客さんのことを訊いてきたり

時には店のスタッフにさえ

少しの嫉妬を垣間見せていました

私は会うにつれて少しずつ

相手の気持ちを負担に思うように

なっていきました


予約が入ると

『今日は何て言ってくるかな』

『今度こそ〇〇してとか言われるかな』

本人には悪気はなく

会いに来てくださるのは

ありがたいのですが

同時に憂鬱な気持ちも抱えていました


私は決して

首を縦には振りませんでした

私の、その本指さんに対する気持ちが

お客さん以上のものには

成り得ない事を悟ったのだと思います



それで良いのです

それで良かったのです


お客さんがセラピストのことを

強く想えば想うほど

お互いにとって辛くなるだけなんです


私は店のセラピストなんですから