地中海に面するこの地方は冬でも暖かい。

果たしてその日の体感温度はどれくらいのものになるだろうか?

暖かいといっても、初めての土地だから朝の時点ではどれくらい暖かいのかわからない。

その日の天気予報もわからない。

寒くなると嫌なので、その日も今までどおりコートを羽織っていくことにした。



ホテルから少し歩くと、大きな通りに出た。

その通りは駅の方面から海岸線のほうまでつながっている。

大通りには様々な店舗が並んでいた。

大型スーパーに大型電気店、デパートに映画館・・・

この場所ならとりあえず買い物に不自由することはない。


高級ホテルは海岸線沿いに多いようだ。

リゾート地だからオーシャンビューのホテルが好まれるのだろう。

まあ、タクシーを使う気もない節約旅行なら、駅から近いホテルのほうがいい。

海より街並みのほうが珍しいし。



ニースの海岸線の歩道は「プロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の散歩道)」と呼ばれているらしい。

イギリス人ではないけど、ちょこっと散歩してみた。

道幅が広い。

海風が気持ちいい。

ジョギングしてる人(イギリス人??)もいる。

リゾート地って感じだ。



その日は長距離バスに乗って「エズ」という村に行く予定があったけど、あらかじめ調べておいたバスの発車時刻まではまだ時間がある。

せっかくなので、歩道から砂浜のほうへ降りてみることにした。


砂浜はずっと遠くのほうまでつながっている。

波は非常に穏やかだ。

海に近づき、右から左へ海を見渡してみた。

キラキラキラ  キラキラキラ

太陽の光が反射している部分がやけに眩しい。

これは・・・!?

同じ光景は日本で何度も見ているはずなのに・・・

海の光り方が全然違った。

クリスマスのイルミネーションみたいに、片方が消えると片方が点く。

交互に点灯してるみたいだった。

小さい光だけど、キラキラと強い光。

一つ一つの光の輝きが宝石みたいだ。


穏やかな波や太陽の位置の関係があるのだろうか?

日本で毎日海を見てるわけでもないし、全国の海を見たわけでもない。

時間の関係もあるのかもしれないけど、ニースの海はまったく違った。

ずっと見ていたいくらい綺麗だった。

これが、印象派の画家達が見てた光??

浅はかかもしれないけど、その時、探していたものを1つ見つけられたような気がした。

日本から来た甲斐があった!!



※「印象派」の名前の由来となったと言われる、モネの代表作「印象、日の出」は、コートダジュールとはまったく逆側(イギリス側)の、ノルマンディー地方の港町「ル・アーブル」で描かれたものだそうです。

 

ニースの長距離バスターミナルからバスで20~30分、曲がりくねった道を登った山の上にエズがある。

岩山の頂上に村があるのが鷲の巣のようだということで鷲の巣村と言われているようだ。

その鷲の巣村に行く為に、ヨーロッパではじめてバスに乗った。


なんで初めてかというと、それまでいたイタリアではバスのルールとかちょっとよくわかんないし、電車オンリーにしとこうという感じだったから。

でも、エズは山の上で山頂までは電車は行かないので、言葉が通じなくて嫌だけど、バスに乗ることにしたのだ。

ミラノから電車でニースに移動したので、はじめてフランス語を使ったのはニース。


なんか、フランス人は意地悪だとか、英語で話しかけてもフランス語で返してくるとか、あんまりいい話は聞いてなかったので、ちゃんとバスに乗せてくれるのか?と不安をかかえながらバスを待った。

 

そして、バスが到着して、とりあえず他の乗客が乗るのを観察してから入り口に立ったが、なんだか運転手が不機嫌そうに他の乗客をさばいていた。

 

ちょっとやだなぁ~・・・



チケットを買わなきゃいけないけど、とりあえず挨拶だなと思い、言ってみた。


「ボ、ボンジュ~ル・・・」




「コンニチハ~!オマタセシマシタ~♪」 運転手は満面の笑みであった。                        

 



つづく・・・                  


エズ行きのバスの運転手は親日家らしく、一番前の席に座っている自分に運転しながら話し続けている。日本語と英語で・・・


彼は日本に来たことがあるらしくて、下落合がどうのとか、てんやで天丼食べたとか、高尾山でケーブルカーに乗ったとか、たぶん関東圏の人間にしかわからないような話題で、休む間を与えないくらいにしゃべりまくっていた。さらに、運転しながら、半分くらいはこっちを見ていた。



箱根くらいに曲がりくねった山道なのに・・・



山の上のほうに行くと、ニースの海岸線がよく見えた。


きれいだったので写真を撮ろうとすると運転手が待てと言う。もっときれいに見える場所があると言うのだ。


きれいに景色が見えるポイントに到達すると、運転手が、ここだ、ここだと言ってバスのスピードを落とし、写真を撮り終わったのを見て走り出す。


それを2、3回やってもらったと思う。他にもお客さんが乗っているのにもかかわらず。



フランスって・・・???



運転手と話していたら、あっという間にエズのバス停に到着。


しかし運転手はここで降りるな、もう少し行くと鷲の巣村がきれいに取れる場所があると言って、その場所まで乗せていってくれた。


運転手に別れを告げバスを降りてみたら、ガイドブックに載っていた様な鷲の巣村の全景を見ることができた。


フランス人、すごい優しい!


その場所から見ると岩山の上に建物が密集していて、岩山自体が村になっているのがわかる。なるほど、鷲の巣か・・・



そこから村の入り口まで5分くらい歩いたと思う、村の入り口付近の観光案内所で村の地図をもらい、鷲の巣探検に向かうのであった。



つづく・・・