列車を降りても何も変わらなかった。

リヨン駅は大きな駅だったけれど、待望のパリにやってきたという実感はない。


始めてイタリアに入ったときも、初めてのヨーロッパ、乗り継ぎのアムステルダムのときも同じ。

遠くて行けないと思ってた場所、ずっと憧れていた場所が入るときはあっけない。

目標達成に到るまでの障害なんかない。

飛行機や列車に乗って降りたらたどり着いてるのだ。

実に簡単なことである。


当たり前といえば当たり前のことなのだが、自分の中で勝手に難しいと思っていた分ちょっと変な気分だ。

大げさに言ったら、TGVが夢と現実の境界線を越えてしまったような・・・

自分を乗せてきてくれたTGVには感謝するが、思っていたような感動がない。

パリはもう、旅の中での日常の延長線上にあった。




駅から屋外には出ずパリの地下鉄に乗った。

パリに来たという実感はあまりなかったけど、イタリアとフランスの地下鉄で違うイメージを感じることがあった。

それは、イタリアに比べてフランスのほうが黒人の人の数が多いような気がするということ。

そういえば、サッカーの代表選手を見るとフランスには多くの黒人選手がいるけれど、イタリアにはいないような・・・

(サッカー詳しくないので間違ってたらすみません。)


肌の色が違うからといって人間の本質が違うわけではないので、別に何か変わるということではない。

ただ、イタリアでもフランスでも自分の肌の色が違うことが内心気になっていた。

日本以外の常識的な感覚というのはわからないけれど、もしかしたら肌の色が違う自分が隣の席に座ったら嫌な人もいるかなと考えていた。

だから、みんながみんな肌の色が同じではないほうが居心地がいい。


それぞれの国にそれぞれの歴史があってのことだろう。

無知な自分には実際のことはよくわからない。

でも、パリはいろんな人々が暮らす国際的な都市という印象を受けた。


途中の駅で乗ってきた黒人女性が元気よく言う。


「パルドン!」(すみません、ごめんなさい。)


彼女は乳母車を引いていたので、大きな荷物を引きずる自分と多少交差した。

パリの地下鉄には飛び出し式の補助椅子のような座席があるので彼女は急いでそこに腰掛ける。

まるで大阪のおばちゃんだ。

堂々としていて気持ちがいい。


そうか、そんな感じでいいのか(たぶん)

彼女を見習って次からは飛び出し椅子に座ることにした。




乗り換えの駅ではたくさんの人たちが移動している。

もう夕方だから帰宅ラッシュだろうか?

天井の低い洞窟のような通路を大きな荷物を引きずって歩いた。


遠くの方からメロディーが聴こえてくる。

アコーディオンの音だ!

どこか切なく、懐かしい。

それでいて弾むように楽しくもある。

その曲は聴いたことがあった。

「パリの空の下」という曲だ。


アコーディオンの音はホームの方まで響き渡っていた。

世の中にはその場所にマッチした音楽というのがある。

その時のそのメロディーは自分にとって最高!

これ以上ないBGMに胸が躍った。




やっとパリにやってきた。








オムニバス, アニエス・ビル, ジャック・レスキュール, ジョアンナ&フレディ・セレック, エマニュエル・ガルダ, フレディ・レセック, クリストフ・ボンゾン, パスカル・ボルヌ, レ・ムエット, マショーン
パリの地下鉄

パリのメトロで演奏を続けるミュージシャン達を集めたコンピレーション・アルバム。

「パリの空の下」も入ってます。

渋谷のTSUTAYAで借りたのでそこに一枚はあると思います。

大型店じゃないとないかもしれないです。


同じようなジャンルのCDがないと思うのでお勧めです。

他にあったら是非教えてください(笑)イタリアの路上演奏のCDもあったら教えてください♪




フランスは農地が多い。

先程からずっと窓の外を見ていた。


TGVなら、地中海に面した南端のマルセイユから、フランスでは北部に位置するパリまで約3時間。

その3時間の間の車窓はほとんど農地だった。


TGVの座席は全席予約席。

パスを持っていても予約席の追加料金を払う。

日本で予約をしたチケットはすべて窓側だ。


TGVの2等車は二人掛けで、隣には若いフランス人の女性が座っている。

スレンダーで美しい女性だった。

かけている眼鏡は流行り(?)のマル型じゃなくて横長の女教師タイプ。


道をあけてもらうときに挨拶をするのが礼儀だろうと思って挨拶したら、シカトしやがった。

国際問題にならないように友好的な立場を示しているのに。


「この野郎・・・」



いや、女性だから野郎ではなかった。

「・・・このマドモアゼル!!」



「このマドモアゼル。」


「このマドモアゼル。」


「このマドモアゼル。」




頭の中で3回言ったら優雅でおだやかな気分になった。

郷に入らば郷に従えだ。

フランス語はさすがだな。

再び窓枠に肘を乗せて窓の外を眺めた。


退屈だ・・・




高速鉄道は相変わらずの田園風景の中を通り抜けて走り続けた。


そしてそのうちに葡萄畑も見えてきた。

エリア的にはブルゴーニュ地方!?

「おー、ブドー、ブドー!」

頭の中だけでわめいていたが、姿勢はすっかり窓に食らいつく子供だ。

ブルゴーニュの畑をずっと見れていたわけではないと思うけど、白ワインの産地として有名な「シャブリ」の近くは通ったと思う。


本当ならばブルゴーニュにも寄って、パリでも十分時間を取りたい。

有名なモンサンミッシェルにも行きたいところだ。

しかし、パリに滞在できるのはたったの1日だった。

パリでの時間を削り、週末にあわせてベルギーの友人のところへ行かなければならない。

パリ、メインに近いのにな~・・・



パリにはいくつかのターミナル駅があって、南の方からやってきたTGVはリヨン駅に停まる。

TGVは方面によって違うターミナル駅から発着することになる。

そこから各目的地までは地下鉄(地上も通る)での移動だ。

この地下鉄が結構複雑で、RER(エール・ウー・エール 高速郊外鉄道)というのが5路線、メトロが14路線。

RERはベルサイユ宮殿などの郊外に行くときに使うのと、急行的使い方ができる。

通常の短い距離の移動は14路線のメトロが便利だ。



張り巡らされた地下鉄はヨーロッパでこれまで訪れた場所と違う雰囲気。

「もうすぐ到着」の車内アナウンスが流れて、いよいよパリのリヨン駅に到着だ。

隣のメガネっ娘はまだのん気に文庫本なんか読んでる。


やっぱフランス語の本かな~

あたりまえか。

そりゃ、日本語だったらびびるよな・・・




つづく・・・



イタリアはいつも得がたいものを与えてくれる。






少年に聞かされたピアニカの演奏:50ユーロセント

ある日のミラノ5














余分に取られた電車賃:2ユーロ

ある日のローマ2~レオナルドエクスプレス~















無理やり巻きつけられたミサンガ:2ユーロ

ある日のローマ10~スペイン広場での災難~














イタリアでの経験:キラキラpricelessキラキラ





お金では買えないものがある。




お金で買いたくないものもある。




買いたいものはこれで・・・







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