イタリア、ローマの怖さを体感したスペイン広場での出来事。
「ナカーータ!!ナカムーーラ!!」
そんな呼びかけは無視したほうが良かった。
人がいいから(?)つい反応してしまう・・・
男は早足で近寄ってきて、両手を握ってきた。
「ともだち!ともだち!」
そう言いながら右手首に三本の紐を巻きつけてくる。
赤、黒、緑。
イタリアらしい配色の紐をねじりながら巻きつけてくるけど、当然そんなもの受け入れるわけには行かない。
巻きつけてくる紐を振り払おうとしたけど、「ともだちのしるし!ノーマネー!ノーマネー!」と言って、そのイタリア人は迅速に作業を続けた。
ひととおり巻き終るとす仲間がやってきて紐を切る。
そして男は言った。
「20ユーロ。」
出来上がりまで約30秒だ。
20ユーロというと、日本円で3200円(1ユーロ160円で換算)
そんなバカな話はない。
ノーマネーって言っただろう!と睨みつけると、「待て、ボスがいる。」と言って他の男を呼んだ。
ボスは映画の悪役に出てきそうな歯が欠けた男。
瞳孔が開ききっていて、視点が合っていない。
これはやばそうだ。
逃げるにしても現状相手は3人、道もわからない。
ピンチ!
でも20ユーロは払うわけにいかない。
イタリア語はほとんどわからないので、ただ「ノー、ノー!」と続ける。
そのうち最初に声をかけてきた男がポロっと口にした。
「1ユーロ。」
20ユーロから1ユーロか![]()
もう陥ってしまった、その状況から抜け出すには仕方がない。
彼らの前で財布は出したくなかったが、これ以上仲間が来る前にその場を離れることが重要だ。
その男に「ホントに1ユーロだな?」と確認して財布を取り出し、1ユーロコインを探す。
1ユーロコインが見つからないでいると、ボスが自分の財布の中の20ユーロ札を見せながら、「これを出せ!」と言う。
しかもコインを探している手を人差し指と中指で何度も叩いてきた。
手を叩かれている間は体の他の部分に触られても気が付かないかもしれないという心配がある。
ほとんどのお金とチケットやパスポートはおなかに巻いた貴重品ポーチの中、ポケットから出している財布は旅行用で、40ユーロくらいしか入っていない。
財布よりも貴重品ポーチに触れられることが一番心配だ。
1ユーロコインは見つからないけど、これ以上引き伸ばすわけにはいかないと思い、仕方なく2ユーロコインを差し出した。
当然おつりなどくれるはずはないので、手を振ってすぐにその場を立ち去る。
少し離れてからもう一度その場所を見たら既に彼らはいなくなっていた・・・
あっという間の出来事だったけど、「やっと開放された」という気持ちだった。
そして、こんなものイラねーよー・・・と思いながら右手に巻かれた紐を見た。
その場ですぐにはずそうかと思ったけど、よく見るとなかなか発色がいい。
ただの糸かと思ったけど4本の糸で撚ってある、しっかりした紐だ。
紐を巻いただけなのに色合わせがイタリアっぽいな・・・
その紐はなんとなく気に入ってしまったので、これからの旅でこんなことが起こらないようにとお守りにすることにした。
考えてみたらイタリア製だ。紐をつけていることでちょっとイタリア人に近くなった気分?
気を取り直してスペイン広場周辺を探索。
スペイン広場周辺はブランドの路面店が並ぶショッピングエリアだ。
ディオール、グッチ、エルメス、プラダにブルガリ、カルティエ、ヴィトン。
そして、多くの芸術家がかよったという「カフェグレコ」があるのもこのエリアだ。
一例を挙げると、メンデルスゾーン、リスト、ワーグナー、ニーチェ、アンデルセン・・・など(らしい)
それから、しばらくブラブラして、スパーニャ駅から行こうと思っていた一番の目的地、トレビの泉を目指すことにした。
つづく

