ある日のロシア から続きです。)



成田から12時間くらい飛行機に乗って、オランダのスキポール空港で乗り換え、アムステルダムから2時間半くらいでローマのフィウミチーノ空港に到着した。


乗り換え後の飛行機の中ではずっと寝ていたので、まだ眠い。


飛行機を降りたら、夜だったせいかなんだかとても静かで寂しい場所に来たなぁという印象だ。




貴重品を確認後、眠い目をこすりながら預けていた荷物を受け取りに行くとまだ荷物が出てきてなくて、みんな待っていた。


荷物の出てきそうな穴のあるところを見つけてしばらく待っていると・・・





ボトッ・・・ボトッ・・・ボトッ・・・



鈍い音と共に、投げ捨てられるように1つずつ荷物が落ちてきた。



そのあまりのずさんな管理に周りからクスクスと笑いが漏れる。


自分もおかしくなって笑ってしまった。


その時、やっと思えた。



ああ、イタリアだなぁ・・・(笑)




その後、自分の荷物を拾い上げ、入国審査のカウンターを探した。


しかし、そばにはそのまま外に出られそうな出口だけがあり、入国審査をするような場所は見当たらない。




仕方ないので、イタリア語の指さし単語帳を片手に警備員みたいな人に聞いてみた。


「入国審査はどこ?」


「入国審査?ノーノー、いらない」(たぶんこんな感じ)


そのまま出ていいのか?と聞くと、そのまま出ていいという。



その時は何だこの国?わけわかんねーな、と思ってたけど、たぶんEUへの入国審査はオランダで受けていて、もう必要なかったんだと思う。


スキポール空港ではパスポートは見せたおぼえはあったけど、乗換えだけなので入国審査を受けてたとは思わなかった・・・





ちょっと意味がわからないまま一歩空港を出ると、外は真っ暗。


考えながら歩いていたら、変なイタリア人が声をかけてきた。


「タクシー?」


周りに全然人がいないのでやばいなーと思いながら、ノーノーと言って歩き続けた。





フィウミチーノ空港から、そのままテルミニというローマの主要駅に行ける電車に乗れると調べてあったんだけど、屋外に出てしまったので乗り場を探す。


少し歩くと電車はこっち、というような看板があった。


しかし、先ほどから付いてきている男は、真顔で「トレイン、フィニッシュ!フィニッシュ」と言う。


もう、電車は終わっていて、シャトルバスしかないと言うのだ。




シャトルバスはこっちだと言って電車の看板が指しているのと同じ地下道を指す。


終電が終わってると言うのはホントか嘘かは知らないけど、電車もそっちだから行くしかないので、その男と地下道に入った。





地下道には誰もいなくて、そのイタリア人と二人。どうやら、イタリアに着いた途端に危険な状況に陥ってしまったみたいだ・・・




つづく


前回までのあらすじ・・・ 

尊敬するデザイナーに呼ばれて、通訳代わりの友人を連れてイタリアに行くことにした。だけど、その友人がドタキャンして、日本語しかしゃべれないのに一人でヨーロッパへ行くことに・・・まずは、なんとかローマのフィウミチーノ空港に辿りついたのだが、空港を出た途端に胡散臭いイタリア人に捕まる。その彼は、電車はもう終了してしまった、シャトルバスしかないと言い張るのだけど・・・




地下道に入るエスカレーターで、その男は後ろを振り向き、仲間らしきやつに向かって何か話していた。

何を話しているかはわからないけど、「ちょっとこいつを送ってくる」みたいな感じで俺のことを指差しながらニヤニヤしている。


まったく・・・イタリアはスリが多いとか、治安が悪いとか、出発前に散々脅されていたから、細心の注意を払って行動しているはずなのに、この状況は防ぎようがなかった。

大きな荷物をゴロゴロ転がしているし、地理的なことも言葉もわからない。周りに人はいない。


付いて来いというけど、どこ連れてく気だろう??


エスカレーターを降りて、地下道を少し進んだところに右に折れる道があった。

そこを右に曲がると外に出るようになっていて、外は真っ暗。

男は、シャトルバスはこっちだ!と言って外に来いと言うけれど・・・



そんな真っ暗なとこ誰が行くか!!



まっすぐ進んだところに階段があったので、俺はそっちへ行くと言って前に進んだ。

イタリア人がそっちへ行っても電車は終わってる、と言い張るが、わかった、わかった、確認して戻ってくると言って前に進んだ。

足早に階段のほうに進むと、そのイタリア人は「チッ!」と舌打ちした。



なんだ、意外にあきらめ早かった・・・(笑)

というか、ほんとに、ただシャトルバスに乗せたかっただけだったのかもしれない・・・



階段を上ったらそこは駅、電車はまだあったが、確かにもう終電が近いようだ。

駅には出たらちらほら人がいたのでホッとした。


券売機は文字が読めなそうなので、切符売り場のカウンターに行く。


「テルミニまでのチケット1枚ください。」


「13ユーロ。」


13ユーロ??ガイドブックには11ユーロって書いてあったけど、値上げしたのかな??

そう思いつつも早く列車に乗りたかったので、切符を買ってホームで電車を待った。



しばらくして電車が到着、しかし大事なことを思い出して引き返した。


イタリアの電車は改札がない代わりに、自分で機械に切符を入れて打刻しなきゃいけなかったんだ。

ホームの入り口近くにある黄色い機械に切符を入れたら、「ガコン」という音がしたけれど、刻印できてるのかどうかわかりにくい。

日付が刻印されてるように見えるけど、それでいいんだろうか?さっきの切符売り場の人に聞きに行った。



声をかけたら、切符売り場の人はなんだかビックリしてたけど、切符を見せて聞いてみた。


「これでいいの??」


そう聞くと、切符売り場の人は、それでいいんだ、もう電車が出ちゃうぞ、走れ走れ!という。


そうなのか!?やばいやばいと思って、言われたとおり走った。



親切な人だと思ったけど、電車が出たのは5分後くらいで、走る必要はなかったようだ。




ローマのテルミニ駅まで直通のその電車の名前はレオナルドエクスプレス。

洒落た名前だなあと思いながら、窓の外を眺めていた。

電車の中は空いていて、やっと落ちついてイタリアを感じることができる。

もう真っ暗で町並みがよく見えないけど、これがイタリアか、と思えた。

そして、これがイタリアの切符・・・と切符をよく見たら・・・





料金 11ユーロ





!!



やっぱりぼられてた!?



ある日の被害額・・・    2ユーロ  (320円)

イタリア、ローマの中心地にあるテルミニ駅に到着した。


イタリアの古い映画に『終着駅』という邦題の映画があるが、その原題は『Stazione Termini』。

テルミニはイタリア語で終点の意味らしいが、テルミニ駅の語源はテルメという遺跡に近いからテルミニという説もあるらしい。

どういうふうに名前がつけられたのかは知らないけど、その駅はまさに終着駅だった。


ホームの数はJRの新宿駅と同じくらいか、もっとあると思うけれど、すべての線路は片側だけに向かっている。

どの列車もこの駅を通り抜けることがなく、発車するときは入ってきた時と逆側に向かって走るのだ。

改札口もないので、列車を降りて線路が続いているのと逆の方向に歩けば階段を昇り降りすることもなく、そのまま外に出ることができる。

日本では純粋な終着駅自体あまり見たことがないような気がするので(成田空港駅はそう?)、新鮮だった。



ガラガラと荷物を引きながら外へ向かうと、また、「タクシー?」と声をかけられる。

外は暗いし、テルミニ駅周辺は治安が悪いと聞いていたので、ホテルまでタクシーに乗って行きたい気もするけど、乗っても危険、乗らなくても危険と思い、歩いてホテルに向かうことにする。

ローマでのホテルの名前は『Hotel Repubblica (レプッブリカ)』。

クチコミ情報があるホテルの検索サイト「アップルワールド」↓での評価は悪かったけど、出発前に時間がなかったこととテルミニ駅から近いということで、そのホテルに予約していた。




いつもお世話になってますリンゴ



地図上では非常に近くにあるそのホテルだったが、はじめての土地でまさに右も左もわからない状態。

暗いし、見つからないしでどうしよう・・・

今後、夜中にチェックインするのはやめようと心に誓うのであった・・・

つづく