【古文】

 寺の名(な)、さらぬ万の物にも、名を付くる事、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。この比(ごろ)は、深く案じ、才覚をあらはさんとしたるように聞ゆる、いとむつかし。人の名も、目慣(めな)れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。


 何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才(せんさい)の人の必ずある事なりとぞ。 

 
 
 

【現代語】

 寺の名をはじめとして、その他のあらゆる物に名を付ける事において、昔の人は少しも趣向を凝らさず、ただありのままに、わかりやすく付けたものである。この頃は深く考え、知性を見せびらかそうとしているように思われる。たいそう見苦しいものだ。人の名前も、見慣れない文字を付けようとするのは、無益なことだ。
 
 何事も珍しいことを求め、奇抜な説を好むのは、教養の無い人が必ずやる事である。
 
 
 
 

*名を付ける際は、シンプルで解り易いものを選ぶべきであり、こだわり過ぎない

 方が良い、という事ですね 。

 
*とは言え、男の子には「かっこいい漢字」を、女の子には、「きれいな漢字」を、
 読み方(音)も含め、感じ(漢字)のいい名前を、付けてあげたいのもです。キラキラ