新著『新・人間失格 ― 人間を失格して哲学者になった男』をAmazonからKindle版として出版しました。

Amazon.co.jp: 新・人間失格 eBook : 河村次郎: 本
書は太宰治の名作『人間失格』を哲学者である私が新たな視点から書き直した哲学的小説である。太宰の『人間失格』は一六歳のときから私の心を掴んで離さなかった芸術作品であり、この魅惑は私の長い哲学遍歴を完全に貫いている。
私は太宰の「人間失格」の概念の裏に『HUMAN LOST』における精神病院強制入院時の心境が濃い影を落としていると思う。それゆえ、この『新・人間失格』では、太宰の病跡を客観的に分析する観点から、新たに精神病に対する偏見と人間失格者意識の関係を捉え返し、それを物語の中に織り込んだ。また、多くの人が意外と思うであろうが、私は太宰の人間失格という概念が、トランスパーソナル・エコロジーと親近性をもつこと、ないしはそれと融合可能であることを示唆した。また、人間失格者意識がアンチ・ヒューマニズムの哲学や反出生主義と共通性をもつことは容易に理解できると思う。私はこの点を人類滅亡という終着点に向けて語った。この小説の中の登場人物間の対話・議論の中にそれを織り込むという手法で語ったのである。
私は自称・人間合格者の化けの皮を剥ぎたいのだ。自称・人間合格者たちこそ、人類の滅亡を加速化する元凶である。彼らは幸福中毒者であり、自分たちの欲望の際限なき拡大のために、あるいは明るい人生を謳歌するために、精神障害者や人間失格者を蛇蝎のように忌み嫌い、この世から抹消したがる。少なくても、どこかに隔離したがる。人間合格者の本性は偽善者である。太宰が人間失格だとするなら、彼らは人間のクズなのだ。この「人間失格」と「人間のクズ」の対比が本小説の核となるものであり、それは哲学的視点から深く深く論じられている。そして、その背景には私の広くて深い哲学と科学と医学の知見が控えている。その意味で、この作品は太宰の『人間失格』の単なる改訂版ではなく、新たに書き起こされた哲学的人間失格者賛美の小説なのである。
太宰の人間失格論は、人類が自らの滅亡を潔く受け入れるために役立つ最高の哲学の一つだと私は思っている。




