最近は佐野元春の音楽が生活のお供。
 
音楽評論家の渋谷陽一さんが亡くなった。
FMNHKの渋谷陽一さんの番組で
どれだけの音楽を知ったかしれない。
渋谷さんの紹介といえば、
徹夜でそのミュージシャンの楽曲を漁るように聴いたのが
昨日のことのように蘇る。
彼の取りあげる洋楽や邦楽はどれも刺激的で、
時々、
さっぱりわからない、
という楽曲もないことはなかったけれど、
渋谷陽一セレクトというブランドだったからか、
おかしな話ですが、
繰り返し繰り返し繰り返し聴いて
しまいには聴かずにいられなくなっていた、という
こともあった。
当時大人気だったパイオニアのランナウェイ
という最新のラジカセがどうしても欲しくて
父に買ってもらったのも、渋谷さんセレクトの曲を
できるだけ鮮明に聴きたかったからだ。
 
佐野元春さんや安部恭弘さんの存在は、
渋谷さんから教えてもらった。
ランナウェイのスピーカーに耳を押しつけて
そのまま眠る夜のなんとしあわせだったことか。
記憶が曖昧だけど、
その前後に佐野さん自身のラジオ番組も始まり、
その頃から、
テレビには出ないけれど、
ラジオのディスクジョッキーはやるという
ミュージシャンが増えたような気がする。
 
亡くなってしまったけれど、
あの人生のはじまりのような時間に、
渋谷陽一さんから音楽を教えていただいたことは、
つくづくよかったと思う。
声も口調もなんとも言えずFMチックで、
あの声や語り口、更に言えば
FMラジオという媒体と
渋谷陽一は相性が合っていた。
 
いつに間にラジカセは手元になく
買ってくれた父も亡くなり、渋谷さんも逝ってしまった。
思い出ばかりが増えてゆくけれど、
悲しいかな思い出には重さはない。
ただ静か。
それだけです。
 
マグネットネイル。
角度によってホワイトでブラウンで時々シルバー。