ただただ油と砂糖を摂りたいときがある。
子どもの頃、ちょっとした実験キットが付録の
学研の科学シリーズという雑誌を購読していた。
あるとき、円錐形のプラスチックケースに、
集めてきた土と蟻を入れ行動を観察する
という見立てのキットがついてきたことがあった。
(もしかしたら学研ではないかもですが)
そこにどういういうわけか土ではなく、
台所にあった上白糖と蟻を入れたのをはっきり覚えている。
今思うと残酷な行動だけど、
そのときは、蟻に喜んで欲しい一心だった。
甘い甘い砂糖にまみれたらどんなしあわせだろう。
そして死ぬことはなく永遠に生きられるのだ、と
真剣に思っていた。
現実に蟻はあっさり死んでしまい、
それはそれで衝撃的な出来事だったけれど、
今回言いたいのはそこではなく、
油と砂糖にまみれたい、という欲望を絵図にすると目に浮かぶのが、
あの蟻地獄キット(漕戸もり談)に入れた
上白糖と蟻だということ。
欲望が容量を超えて叶えられると死ぬということは学んだが、
それまでの蟻の(無論、想像の)うっとりとした表情や、
はしゃぎまわっているような動きを思い出すと、
よだれが口の中に湧いてくる。
そろそろ油と砂糖が足りないな、という合図だ。
こういうときの食べものに品位はいらない。
むしろ雑でガツンとくるものがいい。
もう暫く顔も見たくないと思えるくらい食らいつけば、
背徳感もたちのぼってくるが、
間違いなく強くなる(気がする)のだ。
これこれ、これです
そういうわけで、食パンをざくざく切って油に投入。
揚げパンの完成。
最強で最悪の試みは滋養強壮に効く。(個人の感想)
