聴き逃しで聴くラジオ番組のひとつ
高橋源一郎さんがパーソナリティを務める「飛ぶ教室」。
金曜日の夜が放送日なので
翌土日に仕事の支度をしながら聴く。
番組では毎週
高橋氏が一冊の本を紹介し、
その本や次に登場するゲストの頬にでも
触れているような印象の曲が間に一曲流れる。
この日の本は高倉美恵著
『眼述記 全身マヒになった夫が文字盤で最初に示したのは
「さわるな」の4文字だった。』
本の内容は是非ラジオを聴くか、お読みいただきたいので
ここではご紹介をしないが、
なんとも心が揺さぶられる内容で
どこに気持ちを置けば
自分のポジションが善人(或いは知識人)
でいられるのか探すのだけど、
どこにも見つからないまま、
自分の情けなさややりきれなさや冷たさを、
ナイフみたいに突きつけられてしまった。
意思の疎通ができなくなったら施設に入れるよう
お互いの認識のもと
家人共々その費用を貯めるのが励みのような日々に、
最初から温度などないのだ。
わかっているから
直球で投げられる慈愛はほんとうに堪える。
しょんぼりしていると
高橋さんが
名曲としてだけ説明し流れてきたのが
DefTechのMyWay
著者への応援歌と
その後に登場するゲスト藤井一至氏へのリスペクトような
メロディと歌詞が
しょんぼりしている自分にも滲みてくる。
毎回毎回
そういうふうに選んでいるとわかっているのだけど、
この日の選曲はいつも以上にエッジが効いていた。
『音楽にも造詣が深いんです僕』というような
(良い悪いは別として)高橋さんの曲紹介も、
いつもより省かれていたからかもしれないけれど。
DefTechの曲はひと通り聴いてきた世代だけど
また違う風景から聴くと
こんなふうに感動することに更に『感動』する。
ここから考える。
せめて考えることはしていこう。
善人の逆は悪人ではないと信じて。