昨年離婚した女ともだちが

漸くひとりの暮らしにも慣れてきて

マッチングアプリなるものに挑戦しはじめた。

初婚の若者たちが集う結婚目的のものとは違い、

30代後半からの独身や離婚経験者が集まるアプリには

生活も年収も環境もさまざまな人たちで賑わっていて

聞いているだけで興味深い。

彼女は既に何人かと会っているのだが

特定のひとと3回以上会ったことがないらしい。

先日も、話も合うしいいかもと思っていた

デザイン関連の会社経営者から

タトゥー(おしゃれのほうの)が入っていることを打ち明けられ

それはどうしても無理とお断りして終わったという。

 

40も過ぎると白紙のままというわけにはいかない。

逆に白紙であっても面白味がない。

既に色をついた同士が互いに染めあってゆくには

相当の歩みよりが必要なのはわかるけど、

この譲歩がなかなか難しいのだそう。

マッチングアプリの持つ

候補者が溢れているにもかかわらずの出会えなさ、

という特徴に、彼女は「誰か紹介して」と言うのだった。

映画『恋におちて』の

メリル・ストリープとロバート・デニーロのように

うっかり落ちても困りものだけど、

不意打ちの出会いを求めるには、

アプリはまだまだ技術が伴っていないらしい。

これを技術というかどうかはさておいて。