近くの工事現場で、
クレーンの中程にある操作部分に、
気づけばオペレーターさんがいて、
夕刻にはいつのまにかいなくなっているので、
昇降方法はなんだろうと疑問に思っていたが、
ついに現場をおさえた。
目を凝らすとクレーンを支えている鉄柱内に、
ジグザグに階段があるようで、
それをオペレーターさんが
えっちらおっちら自力で登っていくのを見たのだ。
それにしても
隙間だらけにみえる頼りない階段を、
マンションでいえば10階ほどの高さになる場所へ、
じりじりと一人の人間が到着する様子は、
遠くから見ていても恐ろしい。
命綱もあるだろうが、
一度登れば何度も降りられる高さではないし、
簡易トイレや飲食も必要だろう。
そのうえ風通しが随分と良さそうでとても寒そうでもある。
彼の家族はこのことを知っているのだろうか。
子どもたちは、妻は、父母は?
どの立場に自分を当てはめても
心配でたまらない。
そんなことを考えていたら
操作室は戦場のように思えてきた。
誰かがいかなければ、じゃない。
誰もいかないようにできないものか。
考えているうちに、クレーンはゆっくりと仕事をし始めた。
「慣れですよ」
麻痺でしょう!
そうは言っても慣れるまで
なんだか落ち着かない4月。
突入。
再掲
