由緒正しい日本庭園で、

綿帽子が風に吹かれて吹き飛ばされるのを見た。

それはふわんと空に舞いあがり、

大きく手を伸ばした紋付袴の新郎殿に掬いあげられて、

一瞬で再び新婦の日本髪を覆い隠した。

それでも。

一瞬とはいえ綿帽子を支えていたものを、

そこにいた全員が確かに見た。

見たのだけど、見てないことに同意して、

別に、という顔つきで

春風がなかったことにされたのは、

お見事としか言いようのないマジックみたいだった。

綿帽子の内側にこそ、夢の支柱があった。

そう考えると、いいものを見たのかもしれない。

すべてに幸あれ。

 

 

昨日の晩飯。別ショット。