高血圧の敵、浜松名産の浜納豆。
義父が浜松の出身なので、
家族で浜松に行くと猪肉のジンギスカンをたらふく食べ、
湖畔で鰻の白焼と浜納豆を買い求めるのが常だった。
義父の一年祭。神棚の前には義父の好物がずらりと並ぶ。
きんつばや歯が欠けるほど硬い煎餅、当日には数の子もお供えされる。
浜納豆もそのなかのひとつ。
いろいろなメーカーのものがあるけれど、ヤマヤ醤油さんのしか勝たん。
家人と出会わなければ一生口にしなかった珍味で、
初々しいお嫁さんだったわたしが、この珍味をおいしいと言ったあの日、
人見知りの義父がわたしを受け入れ始めたのだろうと今ならわかる。
わたしも人見知りだし、なかなか心を開いて話をすることは難しかったけれど、
浜納豆がすこしの距離を縮めてくれていたとおもうと
余計に感慨深い味になってしまった。
おさがりを大事にいただこう。
これがあればお酒は永遠に飲み続けられそうで怖いので、
ちろちろと飴玉のように舐めながら。
今更ながらありがとうとおもう。
そういうための一年祭だった。
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