中部日本歌集が届いたので、
徒然なるままに読んでいきます。
気ままできまぐれなので、どうぞ気になさらないでください。
所詮若造(わりと古い方の若造です)のこと。
小学生のエッセイくらいにおもっておいていただけますと幸いです。
 
 
 
高々とひらきて傘は売られをり一度も雨を知らぬかがやき
栗木京子 連作 卓上のメモ より抜粋 「第六十八集中部日本歌集」収録
 
 
雨の日の傘売り場が好きだ。
傘売り場には天気情報に精通している店員さんが必ずいて、
午後から雨だとわかるや否や手の届かない天井に所狭しと
開いた傘がぶら下げられる。
デパート勤務の友人から聞いた話だから間違いない。
晴天の日に傘売り場に行くと、静かでひんやりと感じるのは、
ほとんどの傘が閉じているからだ。
 
以前方向音痴の恋人と待ち合わせをして、ずいぶんと待たされたことがある。
待ち合わせ場所だったデパートの、入口すぐにあった傘売り場
(名古屋人ならどこのデパートかすぐバレてしまう)が、
開いた傘でとても華やかだったのを覚えている。
あの日の天気やその後わたしたちがどうなったのか、
具体的にはちっとも思い出せないのに、
あの日確実に雨だったことや、
あれからわたしたちがなんとなくぎくしゃくしはじめたことは想像できる。
 
一度も雨を知らない傘というのは、手が届かないところで美しく輝く。
太陽の輝きとは違い、濡れてしまう未来を目の前に瞬く光として。
「かがやき」のひらがな表記から、どことなく無垢な雰囲気を感じれば、
その未来は愉快なことばかりではないともとれてせつない。
それでも、いつか輝かなければ。
場面の切り取り方がうまく♾️に楽しめる一首でした。
 
 
 
中部日本歌集の裏表紙。白は無垢ではないのがわかる。
 
 

別々にバンズとチキン購ふひとの秋水としてココアは冷える

漕戸もり

 

ファミマのレジ横にあるホットスナックコーナー近くに、

最近バンズコーナーができた。

フライドチキンとバンズをそれぞれ購入すると、

自分オリジナルのできたてチキンバーガーが作れるらしい。

近くの中高一貫校の下校時、育ち盛りの学生がそれを買い求める姿があった。

共学なのに断然男子がお得意様のようだ。

ワイルドで結構。

と思いきや、ホットココアもお買い上げ。

セミワイルド、結構じゃない。

ワイルドになる必要なんてないのだ。