先日の歌会で歌人の大塚寅彦さんが
「息を呑むどんでん返し」と言えば映画「シャレード」ですね、
とおっしゃった。
その頃の映画を程よく放送していた水曜ロードショー、ゴールデン洋画劇場等の時間帯は
映画好きの母の密やかな楽しみだったので、そのときだけは夜更かしは許されて、
母の隣で殺人や恋愛や宇宙やせつなさを学んだものだ。
中でもオードリー・ヘプバーンの映画は、版権の問題かどうかしれないが
たびたび放映されていた記憶がある。
それ以外にも、借りたりしながらほぼほぼ全作品観ている。
これは女子あるあるかもしれないけれども。
(日本人女子のオードリー・ヘプバーン人気は不滅である)
そこでおもったのだ。
「息を呑むどんでん返し」なんてあったっけ、と。
それで改めて観なおしてみた。
う〜ん。
昨今の刺激(トム・クルーズの映画を観過ぎました)に慣れてしまったせいだろう、
息を呑む、までにはいかず。
申し訳ありません。
でも。
久しぶりに観るといい映画だなぁとおもいましたね。
なによりもオードリーが魅力的。
おまけにケーリー・グラントの素敵さったらない!
トーンの暗い画面に、オードリーが纏うジバンシーデザインの
衣装の赤やオレンジの色が「映える(バエル)」。
レジーナ(オードリー)がぐいぐいピーター(ケーリー)に迫るのも、
なんと可憐なことよ。
ピーターよ、よく耐えた。
あなたは偉い。
こんな妖精に迫られたら世の男はひとたまりもない。
家族を捨て仕事を捨てすべてを捨て妖精についてきますと、
とろとろになってしまうはずだ。
そこを、耐えているというより、
僕は別にどちらでもいいんですけれどね、というように俯く
痩せ我慢っぷりが男をあげるのだった。
ストーリーの結末はどことなく最初からわかっていて、
それでもこんなに長く愛されるのは、
オードリーとケーリーのキャスティングに尽きる。
新しいものばかり追う日々に、
古き良きものを垣間見るのは刺激になる。
短歌でいえば…万葉集か。
いや、手元にあるけれど食指動かず。
寺山修司から再読し直すか。
それなら喜んで。(もうボロボロだけど(笑))
すべて大塚さんのおかげでございます。
饒舌に降る秋雨に濡れてゐる塞ぐためある耳のあたたか
漕戸もり
秋雨。
冬の入口みたいで嫌い。
レジーナになった気分です。
