梅干し。
梅農家の減少。後継者不足。
成長まで約7年掛かる梅の木に、どれだけの人が人生を賭けられるのだろう。
法制度が変わり、今まで通り農家が食品加工をすることが叶わなくなったこともいけない。
松竹梅などと呑気に一句詠んでいる場合ではない。
土にまみれ汗を垂らし、気の利いた文字などひと言も書けず、泥のように眠り目覚める日々が、
どれだけ尊いのか思い知らされる。
それに加え痛感するのは、わたし自身の立ち位置である。
一からスタートする気迫も環境も、なにより人生の時間が中途半端に足りない。
キッパリと、若い衆お願いねというほど老齢でもなく、かと言って
じゃああなたに付いて行きます、という柔軟さにも欠ける。
苦いコーヒーを飲み残し、なんだか秋そのものの心で仕事を終えるのだった。
世界一の梅干し。宝石のように味わう。
七分袖ひらひら要らぬ冬支度 漕戸もり
物足りなさをフリルで護摩化しているのだろうか。
そう勘繰ってしまう秋から冬への七分袖。

