連勤中。
連休1日目の地下鉄は混んでいる。
当然立っての乗車になったのだが、目の前に座っていた年輩男性が広げているスポーツ新聞の一面が気になって仕方がない。
両隣の乗客に被らないくらいの開きかたで遠慮しいしい読まれているので、
カラー一面の派手な大文字のタイトルが歪む。
昔?16?歯がかゆい?
新聞は中日スポーツだから、当然ドラゴンズのことなのだろうと推測はつく。
このところいいことなどひとつもないドラゴンズ。
親会社だからといっても、もう庇う材料すら残っていない。
でも、もしかしてすこしくらい褒めてくれたりしている可能性だってないとはいえない。
だって親会社だから。親ですよ、親。
気になる。
年輩男性と目が合わないように、必死で一面の文字をいろいろな角度から観察する。
借金16 歯がゆい
やがて、
隠れていた「人偏」が現れ、「か」などないことがはっきりと見てとれた。
「親として、わたしゃあほんとうに歯がゆいよ」
怒りを滲ませているようなカラー刷りではあるが、いかにも寂しそうな呟きが聞こえてきそうだ。
わたしゃあ、と親に言わせてはいけない。
ましてや歯がゆいだなんて。
親でも子でも、
どちらの方向からも身につまされる話である。
負け試合
なのに満員御礼。
甘やかしてもいけない。
抱き癖のあるよその子の秋のこゑ 漕戸もり
