打ち合わせでもプライベートの食事でも飲みでもいいけど、長居する時のファミレスは最強だ。
コメダやコンパルやカザンや星乃の追従を断じて許さない。
追従する気もなさそうだけど。
あの手のカフェは、むしろ長居する客はいらないことに徹底している。
隣席との近さ、お洒落かもしれないが座り心地の悪い椅子…。
たとえばコメダは、ボックス席もあり布張りの椅子も一見よさそうにみえて、布の縁がほつれたままいつまでも直さないのが、味、というか、こだわりか無精かを迷うようなバランスで保たれているから、意見が分かれそうではあるが、やはり長居はしたくないです。
 
ファミレスは、ボックス席を確保すれば、隣席も気にならず背もたれもしっかりとしていて、
椅子の表面はビニール製だから、お客さまが変わるたび一拭きされているのも好感度が高い。
なかでもサイゼリヤは、適度にお客(わたしたち)を放置してくれる。
入店からお会計まで、ろくにスタッフさんと会話しなくてもことが運ぶというのは案外重要で、
席に着いてすぐ本題に入れるのは、最高のもてなしともいえよう。
サイゼリヤとて、お客様の回転率について考えていないわけではないだろう。
がしかし、出入口に
(勉強、打ち合わせ等のご利用はお控えください)
と最初から喧嘩を売っているようなGストとは確実に一線を引き、
なんとか別の戦略で営業利益をあげる手段をひねり出しているはずであり、ほんとうに頭の下がるおもいで利用させていただいているのだった。
 
携帯電話でQRコードを読み取るメニュー画面から注文を受ける店舗も増えてきた。
もうすこし早く生まれていたら、ついていけなかったかもしれないまあまあの難易度だ。
ちょうどこの日話題になったのが、
知らない、できない、では損するばかりということ。
自分からいちいち引っかかっていかないと、とんでもない大損をくらう社会だと、
それぞれがしみじみとエピソードを語り合う場面があった。
サイゼリヤで話す内容としてこんなにふさわしい話題はない。
だからどうしても長居してしまうのだ。
 
 
 
 
某日のサイゼリヤ。ここはメニュー番号を手書きする注文スタイル。
お安いご用。

 

バーキンに探す電話のふたつあり竹馬の友の爪は秋色  漕戸もり

 

久しぶりに古い友だちたちと会う。

一緒にいた季節より別々に過ごした季節のほうがすっかり長くなってしまった。

わざわざ言わないこともあるだろう。

全部知りたかったあのころが懐かしい。

なぜあんなに知りたかったのか。

若さだけが理由なのだろうか。