歌会のお菓子のほとんどは手土産になる。
だからって、菓子はいらないという声を聞いたことがない。
歌を読み合う只中に、ふと傍らの甘いの辛いの硬いの柔らかいのの色とりどりに目を遣ると、
リセットされる感情が確かにある。
音のたたないさざ波のような菓子を、ひとつふたつ選び口に溶かしているうちに、
先程とは真逆の解釈が立ち上がってくることも珍しくない。
心を持ち寄って灯り合うような歌会に、子どもの遠足のような喜びを得て読みといてゆく。
短歌の神さまから許してもらっているような時間とおもう。
