終戦の影が張りついて離れないというのに、祭りだ祭りだと騒いでいるような真夏の激務のなか、ともだちからひっそりとラインが届いていた。
夫が天国に行ったという内容だった。
子どものいないこともあってか、何年経っても恋人のような夫婦で、偶然彼もわたしたちと同じ大学の出身で同窓生だったので、夫婦共に友人と呼べるような仲間でもある。
ラインには、どうして神様は大切な人をわたしから取り上げるのか、と綴られていた。
そして、彼の短い人生におまえが必要だったのだと兄に言われハッとした、という続きがあった。
ハッとするしかないともだちの、底なしの哀しみを思う。
ご愁傷様とは、なんと腹立たしい言葉だろう。
愛するひとを強引にひきちぎり、遥か彼方へ連れ去るような冷たさだ。
 
ともだちの夫は、よく食べよく飲み、不思議と清潔感に溢れ、その様子にいつも元気づけられていた。
あれもこれもトッピングした、店の広告塔のようなともだちの夫の大盛りカレーと、その向かいで離乳食のようにみえるともだちの小盛りカレーの写真は、もう送られてこない。
 
 
CoCo壱の800g、カニクリームコロッケとチーズが彼の定番
 
 

ひきあげるこころの船が乾く夏みづいろになるあをを憎めり

漕戸もり

 

 

まだ思い出として上手く語れない。