とある日。

 

頭上を大袈裟な音で旋回するヘリコプター。

ヘリコプターの影が街を通り過ぎてゆくのを、人生ではじめて見た。

最近揺れている我が国土を調べているのだろうか、すわ、戦争?、いよいよやばいんじゃないのか、などと思いながら見上げる真夏日。

ここで、

詠める者、歌う者、戸惑う者の差がある。

わたしはもちろん戸惑う者で、どうしたらいいかわからずに、とりあえず我が家の乾電池の在庫などを調べる。

そしてそのあと、ファミリーパックのあずきバーを齧るのだった。

 

火事だったらしい。ほんとかよ。

 

 

引く線の僅かな夏の化粧終へこの世はさらひたいものばかり

夢叶ふつもりで生きる片隅にいしだあゆみといふはひとの名

けつそんを叫ぶ微かなこゑがして桃は底から汚れてしまふ

漕戸もり

 

 

ヘリコプターに目は触れている。

人も物も、至近距離から見るとまあまあ怖い。