大崎先生が亡くなった。
わたしに将棋の魅力教えてくださった方だ。
一報を聞いたとき、口からではなく、心から臓器が飛び出しそうだった。
どうしようもなく、大崎さんは死なないと思っていた。
先生が、文章で藤井さんを讃えたときも、和さんが読むその言葉にうっとりとした。
難しいことはひとつなく、わたしのような馬鹿者にも響く、言葉を巧みに使う作家だった。
将棋の話に泣き、恋愛小説に泣き、ノンフィクションに泣き、わたしはこれから何を語ればいいのだろう。
何度も言うように、優しいは強い。強いは優しい。
そして、どうしようもなく寂しい。
遺されたものを大切に読む。
でもふと。
新しいものはもう永遠にないのだと気づくのだ。
 
大崎善生さん、ありがとうございました。
 
 
 
取り出して読む。泣きながら読む。
 
 

雨のない雷に余白を持つて見ゆ父に似る夏の首すじ  漕戸もり

 

綱引きに負けたんだな。

死は決定的なさよならということはわかっている。

だとしても、これは単なる負けなのだろうか。