ドデカな箱からカレーが出てきた。
レトルトカレー10パックをこういうふうに並べれば、そうですね、この大きさになりますよね、というような箱。
そのぶん箱は薄く軽く、ちょっと頑張れば古新聞に挟んで一緒に捨てられる材質なので、とりあえず大きいことはいいことだと思うかた(贈る方も贈られる方も?)にはおすすめのお品。
5種のカレーの食べ比べ。
CoCo壱のカレーをレトルトで食べる機会は、中元でもない限りないと思うと、カレー向きにわざわざすこし硬めに炊いたライスの隣に、レトルトのカレーの最後の最後までを絞り出し、なんなら両側を切り開いて全開にし、スプンで刮げ落とすことも辞さないような気分になる。
これは、前にも書いた高級鯖缶の煮汁問題に等しい。
レトルトカレーがひとつ500円だとする。それはまだいい。「夏のカレー最高っすよね、姐さん」(イメージ)と、ややウケを狙ったような贈り主のはにかむ表情や、こんな大業な箱を届けてくれた運送会社の人の労力ですらも、わたしにはもったいなさ過ぎて、どんなちいさな肉片ですら排水溝に流すのはいたたまれないのである。
全力で受けとめる。
これがマナーというものである。
 
CoCo
 
 

鴫焼のつぎから足をくづしたり   漕戸もり

 

夏の法事。

示し合わせたみたいになごむ瞬間がある。

例えば懐石料理の内容だったり、冷房の風だったり。

とても静かに、なにもなかったように。