「アイアム・ア・コメディアン」を観る。
お笑いファンとして、気にならないわけがないウーマンラッシュアワー村本大輔氏に迫った映画。
コロナ禍以降すっかり慣れたライブビューイングに、ドキュメンタリー要素を練りこんだ見応えのあるショーだった。
この映画の見どころは村本さんの視線の先だ。
その先にある風景或いは人びとに、彼はいちいち関わってゆく。
育った家庭環境や家族のことも赤裸々に語っていたけれど、だから今こうなのねと、そのことを安易な動機づけにしていないのは、彼がそれさえも超えた、遥か遠くを見据えているような眼差しを、いつもしているからだろう。
もっと熱苦しい人だと思っていたけれど、ぜんぜん違った。
差別や原発や政治。わたしたちが普段から耳を塞ぎ目を背けがちなことを、大っぴらに裁いてみせるネタの数々に、実は裁かれているのは『わたしたち』そのものだと知る。
ネタがウケると、彼はわたしたちを上目遣いに眺め、イタズラっ子のように『どうだ』という表情をする。
映画の中で何度も何度も何度もその表情を見ていたら(というか、「見られていたら」が正しいか)、エンドロールの頃には、ずしんと重く体の芯が痺れているのに気づくのだった。
 
 
懐かしい。昔よくこの階のクワトロへライブを観にきた
 
テレビという媒体はダメになりつつある
 
 

短パンのパラダイスから夏休み   漕戸もり

 

 

ネタバレになるからあまり語れないけど、もう一人のウーマンラッシュ中川パラダイスさんの存在感が印象深い。
人生において、ほんとうに大切なひとは数人でいいと最近特に思うけど、パラダイスさんは村本さんにとって確実にこのひとりだ。
在り方ではなく寄り添い方なんだろうな。
言うのは簡単ですが、非常に難しいです。