都心のマンション建築が止まらない。
その隣に漫然と繁る緑。
毎日通っていると、厚かましいほどの繁殖ぶりがホラー映画を観ているみたい。
涼しげというより、不気味というほうが似合う。
仕事明けに鍼灸院に行ってきた。
頸椎痛の治療を西洋医学から東洋医学へシフトして2か月。
長年の負債が簡単に治ることを阻む。
それでも、頭痛で早朝から起きてしまうということはなくなった。
これは素晴らしい進展。
薄々気づいていたけれど、体の相当な歪みもみつかった。
鍼灸師さんが、按摩と針で痛みはやわらぐが根本治療ではない、という説明を、
雑草を刈り取れば表面は一瞬綺麗になるけれど、根が残っている以上すぐ元通りになってしまう、
というたとえでしてくださった。
根こそぎ。
なんだかこれも痛そうだ。
この痛みのあとに美しい風景が待っているのだろうか、と聞くと
彼は「努力次第です」とマスクの中で笑うのだった。
真夜中の月欠け急ぐあをすだれ 漕戸もり
都心のマンション住まいでも、いくつかの隣家に簾がかかっている。
それは、外側を避けるためでもあるし、
内側を曝け出さないためでもある。
わたしはそのうちの外側として、避けられながら
今日という日を始めるためにその前を通る。
