感謝されたのでいただいた。
それにしても立派なフォントである。
二つ折りになっていて、ベルベットのような手触りの表裏。
身が引き締まるような濃紺に金箔の文字。
頭をぽりぽり掻いて「いやぁそれほどでも」と言えば、用意してくださったお相手の立場を汚してしまうような緊張感もある。
こういうときの「謹んで賜ります」とは、なんと便利な言葉だろう。
謹むという言葉を辞書で引いてみると、
・あやまちや軽はずみなことがないように気をつける。
・度をすごさないようにする。控えめにする
・うやうやしくかしこまる。「—・んで御礼申し上げます」
などとある。
さらに、『賜る』はもらうの謙譲語なので、いただいた際の体形(体の格好)はというと…
尻を後ろに思い切り突き出し両手を前へぐんと伸ばし、顔は床を向いているが目はぎゅっと瞑っている、というような、なんだかコントの登場人物のようにへりくだっていたと思う。
スマートな立ち振る舞いができたらできたで、鼻持ちならないと思われはしないか勘繰ってしまうのもよくなかった。
数えきれない式典の仕事をしてきたからこういう場面は慣れてますよね、と言われるけれど、当事者と裏方では月とスッポンである。
この例えでいうと、わたしはつくづくスッポンのような取るに足らない存在だと思う。
それくらいの謙りかたでちょうどいいのだと、謙って学んだような1日。
なぜか申し訳ないという気持ちがある
切り刻む森のにほひのカインズに透明なもの疑はず購ふ
漕戸もり
入口の左右に木材がどどどどどって積んであって、スケルトンの衣装ケースやビニール袋や傘を買うとき、ちょっと迷いましょう。
カインズ。
従兄弟です。
