初夏の風を感じるようになると決まって赤ワインが飲みたくなる。
色味のある酒を口に含みたくなるのだ。
同じワインでも白でもロゼでもなく、赤。
この欲求は気温が上がるのに比例してやってくる。
 
冬から春先に漂うひんやりとした空気感は、冷でも熱燗でももちろんぬる燗でも、日本酒を美味しくいただくのにふさわしいと思うように、手首や足首をみせてもいい陽気が続くと、色ある飲みものを体にたっぷり取り入れることで、夏仕様にメンテナンスされるような。
アルコールがNGな方は、葡萄ジュースやトマトジュースでも構わないので試してみるといい。
徐々に夏野が広がるような感触が体の芯から立ち上ってくる。
日本酒を飲もうと赤ワインを飲もうと、最終的には酔っ払いが完成するだけなのだけど、透明なものを飲んでいた日々からするとぐっと気合いが入る。
 
先日、ソムリエの友人から「サイゼリヤのキャンティはコスパがいい」と改めて教えてもらって、久しぶりにキャンティに『帰ってきた』。
いろいろおつきあいしてみたけれど、やっぱりあなたと一緒にいるのがいちばん楽ちん。
イタリアワインなんてフン!と、見向きもしなかったあの頃のわたしはどこに行ったのでしょう。
早速自宅用にキャンティを買ってきた。
赤色の飲みものが体を洗ってゆく初夏の日。
気合いを入れていきましょう。
 
 
 
 
 

どうしやう空き家のまへの自販機にピクニックしかなくて六月    

紙パック教へてもらふこはしかたはつなつとして了るみたいに

漕戸もり