袴田事件のやり直しの裁判が結審し検察は袴田巌さんに死刑を求刑した。

検察と弁護側双方の証拠合戦のような年月に、疲弊し尽くした袴田さんとわたしたちである。

言い尽くされていた感情はどれも古道具のようでぱっとしないけれど、もうそう長くないような人生の人をまだジャッジするのかという、賽がずしりと沈むようなやりきれなさはどこに置いたらいいのだろう。

万が一罪を犯していたとしても既に十分な罰を受けている。

いやどうなのかな。それすらもわからない。

罰ってなんだろう。

事件の核心より、もはやこの年月の罪深さのほうが際立っているので、なにを基準に『わかった』とすればいいのか慎重になり過ぎてしまう。

問題は、袴田さんではなく『わたしたち』がそれ以上の罪を犯した可能性について議論の場が、このままだと永遠に与えられないことだ。

ひとりの命を以て学ばなければ、わたしたちの未来はないとおなじだと気づく梅雨前の曇日。
 

 

 

 

 

胡瓜・焼肉屋さんのレシピ

 

 

入梅の螺旋階段経由して   漕戸もり