思えば、撮りたいと思う空は底抜けに明るいブルースカイというよりも、触れられたら泣き出してしまいそうな空ばかりだ。いい意味でも悪い意味でも突き抜けているのはこちらの空のほうで、だれにでも何にでも寄り添えるというときには、こうでないといけない。
わたしはまだまだだな。
まだまだのまま死んでいくのかな。
死といえば。
たましいというのは人であれ動植物であれ、死ぬとふわふわと体を抜けてそのままわりと高いところに永遠に漂っているという印象があったのだけど、それは違うのではないかという出来事があった。
やはりたましいとて死ぬのだ。
ちいさく咳をするたび、何処へも還らず何にも混じらず、ぽろぽろこぼれていくみたいにして、それはそれは喩えようのない落ち着きかたで死んでゆくのだった。
 
詩歌がある

 

献本に鉤括弧多しさるすべり   漕戸もり