無性に油が摂りたくなるときがある。
空っぽの頭を無理矢理動かしたときはチョコレートというように、思い当たるふしがあればいいのだけど、特に理由もなく、突如「油が足りない!」と寝ても覚めても油のことばかり考えるようになるのだ。
普段は見向きもしないかつや(よくよくみると男の名前でもある)やてんやの前を通ると、ふわふわと吸い込まれそうになる。
油の足りなさは、お疲れを癒すとかお腹が空いたとかそういう軽快な欲求ではなく、どことなくスケールがデカそうな気がする。
生きるとか死ぬとか、ここで摂っておかないとなんだか相当やばいことになりそう、というような警告というか。
油であればなんでもいいというわけじゃない。
ドーナツやかりんとうでは駄目なのだ。
もっというと焼肉やラーメンでも物足りない。
噛みちぎり貪りくちびるをてかてか光らせつつ、仕舞いには髪の内側まで油まるけになるようなガツンとくるやつ。
うひゃー。
やばいやばいやばい。
欲望の塊なのである。
いつかの春のあぶら
詩歌作は後日連作で。

