改札口は詩になりやすい。

楽曲はもちろん短歌や俳句のなかで、あらゆる改札と出会ってきたしこれからも出会うだろう。

入口でもあり出口でもあるのに、ここはなぜか一様にせつない。

入って出るだけをいえば玄関と同じ機能を持つのに、全然違う印象なのはなぜだろう。

 

🎵改札の前つなぐ手と手 いつものざわめき、新しい風

明るく見送るはずだったのに うまく笑えずに君を見ていた

  奏(かなで)     作詞大橋卓弥 常田真太郎

 

 

この先、別れるのか繋がっていくのかどうなのかあやふやなまま、歌は終わる。

人生に改札はひとつではない。

次の改札口に向かうひとを、僕は改札のこちらから見送る。

 

夜の静かな改札

 

みづいろの虚子忌の絵具を絞りきり  漕戸 もり

 

 

改札の歌に戻ろう。

もう20年前の歌だから、時代もあるのだろうけど、よく聴くとなんと未練たらしい歌なのだろう。

僕はなに様のつもりなのか。

君をもうすこし明るく見送れないものか。

じゃあ、などと言って踵を返し、赤ちょうちんでつぶれるまで飲んで吐きまくり、つれー(辛い)などと言いながら、思いをひとり静かに昇華してほしいものだ。

それでないと、この歌詞の君は浮かばれない。

また僕の改札に戻ってくることが、僕の願いでないと信じるならば。