花粉症の薬は、改良されているとはいえ、毎日水のなかで暮らしているような感触はどうにかならないものだろうか。音も光も影も音楽も景色も、あらゆる世界のすべての輪郭がゆれて、ちっとも定まる気がしない。きちんとしようとすればするほど、心も体も嫌になるくらいだらしなく垂れ下がる。
そんななかの歌会。
おやつの桜餅、桜バウムクーヘンの甘味が嬉しい。
桜味なんて知りもしないのに、桜ってわかる。
もっと言うなら春だとわかる。
もちろん菓子だけではない。集まった歌も味わい深く、ぴりりと引き締まる春の夜だった。
桜餅もバウムクーヘンもとっくに心のなか。
好き嫌い問はれて匂ふ桜餅 漕戸 もり
