政令指定都市の中で唯一、住民票や印鑑証明(もちろんコピーです)などのコンビニ交付ができない名古屋市である。どうもすみませんうちの市長が、とつい謝りたくなる。いや、何度役所の人から居直られたことか。
 
ほんっとに不便
 
数日内に住民票やら印鑑証明やらを送れだなんて、今?という時に限って起こりがちである。
個人情報漏洩?保護?
守られているという安心感どころか、他の指定都市には備わっているセキュリティーシステムが名古屋にはないのか?と、かえって不安になる。
比較的役所の近くに住んでいるわたしですら、はぁああああああああ、と嘆いているのに、電車やバスに乗り継いでくるお年寄りや、お勉強や奨学金の返済に忙しい学生や、終日縛られている会社勤めの社会人は、嘆きを通り越しさぞかし苛立たしいだろう。
暫く改善される様子もなさそうなので、苛々を通り越し諦めの境地かもしれない。
 
こうして、嘆きや苛立ちや諦めの感情を携えて行くような役所だから、当然あらゆるところがいちいち気に障る。職員が私服というのにもケチをつけたいし、軽い私語ですら「なめとんのか」と思わないでもない。
いや、税金でまかなうだろう制服がないことへの恩恵や、時にはプライベートのお話などをされチームワークを万全に整えることも、市民のメリットだということは重々理解している。
ここに訪れるのはお客ではない。と同時に、ここで働いているひとたちは、営業マンでもサービスマンでもない。両者ともに同じ(市民)
※何らかのかたちで名古屋に関係している意味で
 
、ということもわかっている。
 
役所の人が半ば開き直った表情で「どうもすみません」と言うとき、言外に(うちのワンマン社長が)というニュアンスが滲む。
印鑑証明をコンビニで出せないことに腹を立てる前に、それを善行だと思っているワンマン社長を選んでいるのは、(市民)なのだということを、反省しなければいけない。
わたしもだし、カウンターのあなたもだし。
 
 
まだ空いているほう

 

いけないと云ひ裏がへる春驟雨

漕戸 もり