焼肉屋の(一人前)にどれだけの人が納得しているのだろう。
あれで一人前なら、毎回軽く20人前は食べている。
常識は真実ではない。
その常識はいつも明日の非常識なのだから。
 
生八ツ橋の一人前(ひと箱)

 

肝腎なこゑが喉まで遠いからみぞおちへ置く糸杉のたね

漕戸 もり

 

一人前には、独り立ちという意味もある。

焼肉屋の(一人前)とは、もしかしてこちらのことなのか。

何をもってそうだと断定するのは難しいけれど、妙に頷ける。

20人前は楽勝のわたしは、肉を焼くたびに強くなる。

強くて寂しくなるのだった。