隙間時間にチェックしながら遂に投票を終えた。
M-1ワイルドカード。
選ぶという目は、お客として観ている目と違う。
目というか耳なのかもしれないけれど、何組も観ているうちにとりあえず騒がしいのは無理になってくる。
こめかみに血管が浮いているのがわかるようなかけあいは、とても最後まで観ていられないのだ。
演者が力むのに合わせて無意識に力が入っているのだろう。
気づけば自然体でいながらすこしだけ破裂音が混じるような漫才コンビを残していた。
そこから更に絞り込む。
するとどうしても、既に知名度も技術も申し分ないコンビはちょっと横に置いておいて,という気分になる。例えばインディアンズはM-1の器を超えているような気がするのだ。
よく歌人や俳人の登竜門のような賞の選考会のとき選考委員の方が、手垢のついていないとか、伸びしろがあるとか、この人の次の作品を読んでみたいなどと推薦の弁を述べるのだけど、M-1にもまったく同じことが期待されている。
ちょっと横に置いておくくらいならまだしも、知名度や技術があるがゆえに煩くみえてしまうようなコンビもいたりして、M-1へ挑戦するべきなのかどうかという見極めも、各コンビの実力のひとつになってくるのかもしれない。ミキなどは、M-1にエントリーすればするほど、せっかくの芸風が疲弊しているような気がするけれどどうだろう。もうお腹いっぱいとでもいおうか。
そんなこんなで2組に絞った。
う〜。
迷いました。
結局、今まさにあぶらがのっていて、来年では手遅れになってしまいそうなコンビを残した。
投票しなかったもう一方のコンビは、来年絶対自力で這い上がってくると確信したということ。
それでもやっと準決勝。
山頂に近づくほど山は険しい。
叫ばない。自然体で。
御礼に温室育ち差し上げる 漕戸 もり
御歳暮が廃れてゆく途中にいる。
ちぐはぐな習慣が奥ゆかしく品があると思っていた。
