通信機器はipadが登場して以来、携帯電話とiPadの2台持ちをしている。
通話専用の携帯電話とそれ以外という使い方なので、コロナ禍に入る直前まで携帯電話はガラケーだった。
だから今でもガラケーで十分なのだけど、2019年のとある日、充電がうまくいかなくなって修理をするつもりでガラケーをショップに持っていくと、ちょうどスマホデビュー割というキャンペーン中で店員さんからスマートフォンを勧められたのと、購入したとしてもスマートフォンよりガラケーの機種代金が高くなっていたという理由からスマートフォンを持つに至ったのだ。
実際、スマートフォンは持ってみるとそれはそれで使い勝手が良く、通話に加え音楽を聴くという役割を担うこととなる。
そりゃそうだ。
軽量でコンパクト。どこでも即席のいわばスピーカーとなる。
但し、あくまでも通話がメインだから、Wi-Fiの接続ができる場所での使用が大前提の脅威の1ギガ。
それでも自宅でさえ聴ければいいので、滅多に通信速度が落ちることはなかった。
あれから約4年半。
先日、スマホを替えることになった。
音という音が割れる。
音楽や動画からはじまって、次第に電話の着信音や会話の声までもびりびり、ばりばり、そして極め付けはハウリングが起こるようになってしまったのだ。
原因はわかっている。
油だ。
夕飯の支度時、いつものように携帯電話をキッチンのタイル面に立て掛けようとしたこの(いつもの場所)が悪かった。
その日に限って、料理の仕込みのためオリーブオイルを入れたトレイを(いつもの場所)に置いておいたのだった。
ほんの一瞬。
とぷん、と。
音がしたのかしなかったのか。
油は、携帯電話の底辺に備わる充電コードの差込口からすみずみにゆきとどき、潤いは二度と音を戻してくれなかった。潤いにだめな潤いがあることも、わりと衝撃だった。
もうデビューではないから割引もないけれど、通話使いからもうすこし活躍して貰うことになったわたしの新しいスマートフォンは、これまでより月額をアップさせたぶん貫禄さえみせて、部屋のあちこちで早速活躍してくれている。
在宅の際は、浴室のみならず部屋の何処にいてもジップロック入りになったことはここだけの話。
電話をくださるとき、近ごろわたしの声がくぐもって聴こえるのはそういう理由だ。
ジップロック越しの声。
あなたの声も曇って聴こえる。
憂いとでも言おうか。悪くはない。
これもまたこれからの慣習。慣れすぎないようにしないとまた事故に遭う。
用心。用心。用心です。
ショップにて。
偶然、元ドラゴンズ投手のKさんもお客さまとして来店。
そういえばご近所さんだった。
契約は左の肩に綴ぢられて魚で言ふと銀色のうた 漕戸 もり
膨大な携帯電話の契約書。
これって、ちょっとした嫌がらせなんじゃ?
魚に例えてもどうなるわけではないけれど。
