このようなちょっとしたお菓子をいただいた場合、ひとつ召しあがって残りは明日ね、と箱の蓋を閉じるのは至難の業である。
写真は、静岡県人からいただいた抹茶のフィナンシェの詰め合わせ(5個入り)。
想像価格ひとつ150円~170円。小ぶりでくどくなくいくらでもいただけそうである。
可愛い紙の手提げ袋に丁寧な包装紙。箱をひらけば、製品のお品書きと個別包装のお菓子が美しく整列している。
ひとついただく。もうひとついただく。あとひとついただく。そして残りの2個を見る。そこで迷う。こんなに時間も手間も資源も贅を尽くしたものを、秒で、それもがつがつと、なんならひとところに座ってもおらず、部屋にいて、右のものを左へ縦のものを横にしながらほおばっていいものなのだろうか。いやきっと駄目だとおもう。そうだよ、そうそう、今日はもうやめておきましょう。
…およそこんな心情を経て、突き進むのをやめたのだった。
さて問題は、残りの2個のこと。
これがどうしたものか、なんとなく手を伸ばしづらい。
まだあるなぁ、あるなぁ…とおもいながら気づけば賞味期限を過ぎている。それで慌てて口に押し込むという顛末である。
こんなことなら、勢いに乗ってすべて一気に飲み込めばよかった。
でもほんとうにそうなのだろうか。
迷う。
迷うなぁ。
 
   来世でもともにくづるるかき氷    漕戸 もり