漫才やコントは大好きだけどバラエティーはまったく興味がないので、どちらかというと彼女のことはバラエティータレントというよりも、人権問題を語っていたり、英語の番組でみかけたり、小説家と対談したり、社会や政治、あるいは世界にいつも目を見開き、しっかりとしたこころざしのあるグローバルなひと、という印象を持っていた。

容貌も見るたびに変わるので、役者ではないけれどある意味<役割>みたいなものをちゃんとわかっていて、演じていたのだろう。それは美しく魅力的で、まさに画面の向こう側にいる人になるために生まれてきたような、才能と知己を備えたひとだった。

過去形で語るのがほんとうにせつない。

わたしたちは、替えのきかないひとつの光を失ってしまった。

ひとつの灯りがひっとりと消えて、すこし暗くなった世界はなんて寒々しいのだろう。

ひとつくらい、ではない。そのひとつが灯していた風景が確実にあったのだ。

寂しい。

 

  どのくらい首を伸べたら届くのか星へ願いを立葵はも

                  漕戸 もり