久しぶりの高速バス。
該当の高速道路が、工事のため渋滞という情報が出ていたので、
前のりして現地入りすることにした。
水不要の菓子みたいな酔い止めを飲む。
それにしても、
マイカーですら車酔いをするのは一体どうしたものか。
若かりし頃、アトラクションステージの仕事で、
遠路往復のフェリーに乗り込んだときは相当堪えた。
数日の船中泊で、特別室に泊まる演奏家やマジシャンなどとは別の、
洞穴のような寝床だったせいか、じじじじじじじじ、と伝わる揺れ、
もしくは振動に初日からやられてしまった。
名古屋から北へ行く国内フェリーとはいえ、大型船である。
与えられた客室の等級も低く、いくら大型とはいえ豪華客船とは
比べられないとわかっていても、船特有のあぶらの匂いや
揺らぎをおもいだすと、世界一周ラグジュアリーな船旅はいかがですか、と
お金を積まれてお願いされたとしても、乗船を躊躇うだろう。
たぶん乗り物酔いのおかげで、損をしていることも多くあるとおもう。
約3時間高速バスに揺られて現地に到着すると、
今度は市内のバスに乗り換える。
Bus to Busの最強タッグだ。
出先で乗るその土地々のバスは、酔う酔わない以前に緊張する。
乗車と降車が前なのか後ろなのか、発券機はあるのかないのか、
お支払いは前払いか後払いか、現金のみか、お釣りは出るか、
降りますボタンはどこにあるのか、優先席はどこかetcetc …。
小型のキャリーバックを引きずりながら、
状況が不透明なままで乗り込むバスには、疎外感しかない。
見て学ぶ、というのは知らない土地のバスに乗るときのために、
誰かが最初に発した言葉ではなかろうか、とまでおもうのだった。
乗客の所作や行動をガン見しているわたしは、なんだか殺気立っている。
優しくしてくださらなくてもいいので、挙動不審だなんて言わないで欲しい。
なんせ必死なのだから。
どうかおおらかなお気もちで、お見守りください。
菓子のような酔い止めのおかげで、なんとかホテルに到着。
さてと、晩酌の買い出しに行ってきます。
無線LAN接続をして風のなか垂らした竿の先を見てゐる
漕戸 もり
客室の無線LANに携帯を繋ぐ。
繋がっていないと不安で、また自由から遠くなる。
さて、今回はどこだとおもう?

