今まで気づかなかったけれど、我が家には日経新聞が届いている。
というのも、毎朝ポストに届くというのではなく、
家人が仕事場で購読している新聞を持ち帰るなかの一誌らしく、
朝ではなく夜に、また週末版は月曜の夜にとやや遅れて、だ。

知らなかった。

他の、広告なのかニュースなのかよくわからない業界新聞に
まったく興味が持てないので、それらに紛れていたのなら仕方ないことだ。
でも、溜まった新聞を紐で縛っておくのはわたしの仕事なので、
なんとなく日経ではないにしろ、他誌が混ざっていたのはわかっていた。
どれもこれも業界紙と決めつけていたから、
見ようとも開こうともしなかっただけなのだった。
それが先日、
不意に中日新聞以外の新聞歌壇や俳壇をみてみようという気になって、
「つかぬことをお伺いしますが、仕事場で日経新聞って購読してないですかね」と
尋ねたところ、おまえはばかか毎日俺様が持ち帰っているだろうに、と
さすがに言葉では発せずとも、文字にするとこんな態度で鼻で笑い呆れらた。
 
へえええ、そうなの!
 
それで、
じゃあ日曜日の日経を持ち帰ってくださいな、と頼んだら
月曜の夜に持ち帰っているのでもってけドロボー、と
こちらも声にこそ出さないまでもそんな態度で返事を返してきた。
お目当ては歌壇と俳壇である。
ない、どこにもない。
よくよく考えれば、
中日新聞の歌壇俳壇が日曜日掲載だからって、
日経も日曜日に載るとは限らないのに、
家人が購読している日経新聞が、まがいものじゃないかと勘繰ったほどである。
日頃信頼関係が薄いとこんなことになりがち、という典型的な例だ。
 
夫婦喧嘩の種はすぐに実になり花になりやすい。
家人の機嫌を損ないそうになったので、慌ててGoogle先生に尋ねると、
日経は土曜日が歌壇俳壇の掲載日とおしえてくれた。
そしてはじめてひらいたのが写真のとおり。
応募規定を読むと、ネットからでも応募できるらしい。
日経歌壇の選者は三枝氏と穂村氏。俳壇は神野氏と横澤氏。
(横澤氏へは葉書の応募のみ)
あ!
そういえば。
数年前、いやもっと前か、
穂村さん欄にネットで応募したことがあったことを俄かに思い出した。
でもなあ、それが日経だったのかどこだったのかさっぱり思い出せない。
こんなふうに、作者ですら記憶に怪しい闇に葬られた歌は、
いまごろ星にもなれず、どこかの銀河で塵のように漂っているに違いない。
そんなことを感慨深くおもいながら、今後は
たいせつにたいせつに歌や句を詠んでいきたいとおもったのだった。
 
 
       夏手袋指さきに隙あるはうが  漕戸 もり
 
 
夏手袋は指さきに余裕のあるほうが綺麗にみえるんざますよ。
(某デパート店員談)