約三週間ほどだが、早朝のおべんとうづくりがはじまった。

我が家にはプロではないが野球人が住んでいた時期があって、

そのときは朝から肉をキロ単位で焼いたり煮たり揚げたり、

また、おべんとう二つは標準装備。なんなら10時と15時と夕飯前の

おにぎりに加えて、10㍑の薬缶に二回転お茶を沸かしていた。

当時は戦場とおもっていたが、今振り返ってみると活気づいていたなぁと、

当時のじぶんの若さを湛えたくなるものである。

あのころと比べれば、早起きと食材の買い物が増えることを除いて

今回のおべんとうづくりは、ままごとみたいなものだといえる。

 

ごはん一膳とおかずをタッパーウェアに詰めていく。

以前は、とにかく白飯がすすむよう茶色系のおかずばかりだったので、

味はいいのだけどビジュアルがどうもいまひとつだった。

それがどうでしょう。

ままごと遊びの延長でつくるおべんとうの、

たまごやきやピーマンやトマトのなんとうつくしいことか。

それに、一握りの鶏肉を揚げる優雅さって言ったら!

優雅このゆえない。

唐揚げのセオリーはケンタッキーフライドチキンがお手本。

肉を圧力鍋で軽く湯がいておく。

このようなひと手間も、一握りの鶏肉ならおちゃのこさいさい。

さきにふんわりと火が通っているので、スパイス(黒胡椒。

心配になるくらい振った方がケンタにより近づく。騙されたとおもってお試しあれ)

と醤油、生姜などに5分ほど漬けておいたのち、

薄力粉~片栗粉にくぐらせ高温でカリッ、サクッと揚げれば根尾健太、

おっと誰だきみは、NEOケンタの出来上がりである。

 

基本ぐうたらしていたい派なので、おべんとうのためにとくべつなことはしない。

旨きゃいいんです。

旨きゃ。

 

 

  猫の目にきみの背中は濡れてをりすこし重たくなつて息吐く

                   漕戸 もり

 

 

猫は可愛いけれどアレルギーなのでさわれない。

こわごわ目を覗き込むと、すべては濡れていてもうすっかり六月だ。