ちょっと時間があると立ち寄るお店、という位置づけのカルディなので、
ショッピングモールよりも、駅地下の路面店に行くことが断然多い。
わざわざカルディに買い物をしに出掛けるということになりにくいのは、
定番商品も入れ替わるからだけど、そのかわり行くたびに新しいものが店頭に並んでいるので、

予定のついでの近くにカルディがあれば、行っとくかという気もちになる。

人気の定番品も、カルディから消えるころには、いつのまにか他店で
ふつうに買えるようになっているので、それほど不満はないし
その見返りとしてひとつの品が、限りある棚を長らく占領することもなく、
常に新たな出会いを教示してくれるから、逆に<行っとこ>という気になるのだ。
 
この日は金山駅の地下にあるカルディ。
仕事がすこし早く終わったので、乗り継ぎの合間に早速行っといた。
ポップはヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード)ほど突き抜けてはいないけれど、
適度ににぎやかでわかりやすいので、読書をするようにそれらを読んで回るのが、
カルディのただしいショッピングのしかたである。
ワインや珈琲、スパイスやケーキなど、ポップの主はどれもお薦めだと呼びかけてくる。
ついでに立ち寄るカルディなので、なんでもかんでもと買うというわけにはいかない。
そのとき手に持っている荷物とまずは相談。
わりと軽装で鞄もちいさなものならば、ワインや瓶詰のピクルス、バターを買ってもいいだろう。
衣装の替えを持っていたり、雨で傘を濡らしている場合などは、
袋入りのキャンディやスパイスにしておこう、などと、
どのみち買う予定のなかった品々なのだから、大雑把にめどをつけて陳列棚をみてゆく。
さて。
手に取ったのは台湾の豆乳、ジャックソイの砂糖不使用豆乳。
台湾には行ったことはないけれど、詳しい友人たちに聞くとたいてい
よかった、又行きたい、と言うので悪い印象はない。それに台湾といえば、

タピオカミルクティーやカステラ、パイナップルケーキなど、美味しいものがたくさんある。

※スイーツばかりでなく、食事もいうまでもなく旨い

そういうイメージである台湾の豆乳。

砂糖が使われていないとはいえ、豆のやさしい甘さ(このやさしいというのがくせもの)が、

無意識に日本の無調整豆乳を越えてゆく。

手書きのポップに、なにが記されていたか忘れてしまったけれど、

背中を押してくれたのは間違いない。

 

買いました。

 

こんなふうに、はじめて買うときは大人買いしない自分ルールがあるので、

(何度も失敗してきました)まずはひとつ。

そのほか…

濃厚なチョコレートケーキやヨーロッパのビール、海苔バター、トリュフのポテトフライ

(結局、お酒と肴になりがち)を買う。

 

写真はくだんの豆乳330ml。

 

むむ?むむむ。

 

豆そのものは日本も台湾もそんなに変わらないはずなのに、日本の無調整豆乳とは別もの。

言語やお国柄が異なれば、豆乳の製法も違うのだろうか、というくらい違う。

かの国で砂糖不使用豆乳は、飲料より料理に使われるのだろうか。

もしそうなら合点がいく。料理につかえばもしかして、日本の無調整豆乳より

コクがでるのかもしれない、という気配の味でないこともない。

もし台湾のひとが日本の無調整豆乳を飲んだら、どのような反応をするのだろう。

ちょっと聞いてみたい。

聞いて、彼女(または彼)からわたしとおなじような反応(逆視点ですが)があれば、

すっきりこの違和感を、環境や国の違いなどのせいにすることができる。

けれどもし、<日本の豆乳のほうが美味い>となれば、そこではじめて

むむ?むむむ、

のそのあとを忖度なく解説できるというものである。

カルディで、今のところ定番のジャックソイの豆乳。

次にお店に寄るときに、残っているか消えているのか。

そういうスリルを体験するのも、カルディのたのしみかたのひとつでもある。

 

こんなことを書きながら、やはり本好きは書店の書棚などとつい比べてしまう。

先日、村上春樹の新刊「街とその不確かな壁」が出たので、

これもまた繁華街の書店へ冷やかしにいったのだけど、まだ平積みだった。

売れている。売れていそうだ。

そうなるとこんどは、いつ平積みから書棚に納められるのかが気になってくる。

結局、カルディも書店も、商品を通してそのお店の采配に

興味をそそられるというほかならないのだとおもう。

とりあえず、行っとこ。

 

 

   自転車のふたりはシールを貼りながら車をどかす春の詩として

                   漕戸 もり

 

 

 

住宅地内でも消火栓のまえは駐車禁止だと知って春。

知人はやられた、と怒りまくっていたけれど、

自転車のふたりはくちぶえを吹いているような軽やかさで、

また悪い車にシールを貼りにゆくのでした。