統一地方選の後半戦がはじまった。
選挙活動についてはいろいろおもうところはあるけれど、
仕事として引き受けた以上、候補者のいいところを有権者のみなさまへ
丁寧に丁寧にお伝えしていく。
候補者とお会いするのがはじめましての場合、選挙事務所に入るとまず、
お天気のこととか、駅前の風景や土地の名産や今年の農作物の出来具合など、
選挙とまったく関係のない話を聞いたり感想を述べたり、という
いわゆる<無駄話>は、とてもたいせつ。
仲良くならなくていい、仲良くならないほうがいい。
情けみたいなものは、正しいことを歪ませてしまいがちだ。
おぼろげな輪郭を知っておいて、どのように盛り立てていくかが勝負となる。
もちろん、期間中候補者は忙しい。
過去には、初見で「今日からよろしく」と言われ、
選挙活動終盤まで一言三言しか会話をしなかった候補者も数多いた。
それでも、彼、または彼女を目視していれば、30分くらいで大体のムードはわかる。
候補者を知ることで、たとえば、支援者に心底愛されていなさそうだとか、
どうもパワハラセクハラ野郎みたいだとわかっても、手抜きをすることはない。
もちろんボランティアとしてお願いされていたら、
さっさと帰ってきてしまうだろう。
でもビジネスの場合は、違う。
<いいところ>を、あたかも霞を掴むような作業で掘り起こして
街頭でも街宣車においてでも、わかりやすい言葉や声や眼差し…
わたしのあらゆるツールを駆使して、
有権者に「そうであってもこのひとに賭けてみよう」という気もちになっていただく。
長所は短所にもなるけれど、短所は長所にもなることを、
案外こういうときに学んでいるのかもしれない。
いいか悪いかは別として。
今回の候補者さんは、感心するほどフットワークが軽い。
任期も幾たびか重ねていらっしゃるので、地元では名士であるはずなのだが、
ボランティアスタッフを気遣い、お茶を出し、来客には自ら椅子を用意し、
もしかして一日座っていなかったのでは?と思うほど、絶えず動かれる。
わたしたちアナウンススタッフのためののど飴の常備も、
「もしかして足りなくなるかもしれないから買ってくるわ」
とコンビニに行こうとするので、必死で制止したほどだ。
もうそれだけで情報は十分。
柔らかく、やさしく。
街宣車で地域をめぐるときには、
いつもお世話になっている感謝を伝えよう。大声は不要。
すこしお邪魔しています。ちょっとだけ騒がしくて申し訳ありません。
でも、この機会に是非感謝とご挨拶をさせてください。
ありがとう、を伝えたい。
これまでの実績はある。地域の住民でもないわたしがわざわざ、
どんなことを成してきたかをあらためて言う必要はない。
候補者さんを囲むまわりのひとびとをみていればわかる。
その証拠として、ひとびとの笑顔がいつも候補者に集まっている。
みなさまといっしょに住みやすい街をつくる。面倒なことも引き受ける。
なぜなら、この土地がすきだから。この土地に暮らすひとびとがすきだから。
柔らかく、やさしく。
今回の肝は決まった。
風光明媚な土地に鯉のぼり。
空に生えた羽根かよ。
不意打ちはずるい。
うつかりと胸から生へた羽根のため背中を抱きたくなるよ言葉の
漕戸 もり
