仕事に食事がつくことがある。
無条件にありがたいことだ。
朝昼晩と一日三食食べることができない不規則な仕事なので、
夕方に朝ご飯を食べたり、お昼に夜ご飯ということに抵抗がない。
それどころか、仕事がない日でも三食規則正しく食事をすると
なんとなく体がしゃきっとしないような気がして、
日中は、象や猿のようにナッツや果物を齧って過ごすことが多い。
 
同居する家人が、健康は三度の食事からと
頑なにかんがえているような偏屈者なので、
朝昼はともかくとして接待という飲み会のない日の夜ご飯は、
槍が降ろうと雨が降ろうと絶対につくらなければならない。
わたしが夜に仕事や飲み会やその他の予定があるときは、
あたためるだけで食べられ且つ、
洗う食器が最小限に済ませられるものをつくってから出かける。
レトルトや出来合いのおかずでいいよ、と家人は
いかにも物わかりのいいひとみたいに言うが、
どことなく棘を隠し持つような言いかたをする(ように感じる)ので、
たったひとりぶんの食事を用意する。
これみよがしに、と言われてもまあ仕方がない。
実際これみよがしなのだから。
 
写真の食事は某ホテルでの仕事の際、控室でいただいたものだ。
開場は17時からで、終演はご挨拶もふくめて20時。
入り時間が15時半。全体の最終打ち合わせが16時。
その時間をぬって食事が運ばれてきたのが15時45分だった。
写真は食事の一部で、このほかにケーキとフルーツの盛り合わせが付いていた。
おもてなしの心が伝わってくる。
熱々の茶碗蒸し。丁寧に出汁をとった味噌汁。
 
短時間で熱々のものは熱々のうちにいただく 
VS 
落ち着いていただく冷たくなった元熱々のもの
 
さて、あなたならこの食事をどのタイミングで召し上がりますか。
 
結局わたしは、すべてが終わった20時以降にいただくことにした。
蓋のできるものには蓋をしてお刺身だけは冷蔵をお願いして
あとはそのままにしておいてもらった。
 
仕事が終わったあとの食事は美味しい。
冷えたごはんや茶わん蒸しや味噌汁ですらお世辞抜きで旨い。
腹が減っては戦はできぬというけれど、
すこしくらい空腹のほうが身も心も軽快に動くというものだ。
毎日毎日連続してある食事は、
日々のとるに足らないことがらの<ご褒美>が
ずっとつづいているような存在だ。
それは一日三回だと多いし、ないと困るし、
なんとなくそろそろというかんじで一度か二度あればいい。
というわけで、食事は断然仕事のあとが嬉しいというおはなしでした。
おいしゅうございます。
ご馳走様でした。
 
 
   花束を掴むと傷がつきさうな手を握つたらこぶしと言へり
               漕戸 もり
 
辛夷。拳。鼓舞し。こぶし。
WBC、おめでとう!