突然だけど、

駅構内の公衆トイレについて望むことを挙げてみる。

 

①清潔第一(便器も洗面も鏡も)

②トイレットペーパーは予備も欠かさない

③シャワートイレは不要だが便座には保温機能がある

④扉は外側へひらく

⑤和式だけというのは論外。

⑥上の部分にもちゃんと間仕切りがある

⑦汚物入れは手で触れなくてもいいものを

⑧洗面台とは別に化粧スペースが欲しい

⑨トイレを人けのないところに設置しない

⑩冬には洗面の蛇口から湯が出る

etcetc…

 

このように、希望を好き勝手に並べてみて改めて気づくのが、

高速道路のパーキングエリアにある公衆トイレの完璧さだ。

とりこぼしが見当たらないどころか、希望のはるか上をいく。

たとえば、靴を脱いでちょっとした着替えができるような

(新幹線でいうと前の背もたれにある折り畳みテーブルのような)

パネルが足元にあったり、小さな子どもを座らせておく椅子が

全トイレ完備であったり、カバンだけでなく

重いコートや濡れた傘などを別々に掛けられるフックがついていたり、

なかには、アロマ機能の付いたドレッサーがあるところまで存在する。

もちろん、高速道路と地元の駅では

資金面のあきらかな差があるのは承知だけれど、

多少係のひとが不愛想になるくらいは我慢するから、と

お願いしたいほど公衆トイレの充実は重要である。

なぜならトイレは、たとえ一期一会であったとしても、

無防備になる場所であるし、

諸々をリセットする場所でもあるからだ。

 

すくない予算(あくまで想像ですが)のなかで、

そこはなんとかお願いしますと、日々こちらは平身低頭で

駅の公衆トイレを使わせていただいているのだけど、

ときどき、

「旦那、お金のかけるところがちと間違っちゃあいませんか?」と

突っ込みたくなるトイレと出会う。

それがこの一枚だ。

 

 

ご覧いただいて、

これはトイレのあの部分だ、と言い当てられるひとはいるのだろうか。

 

正解は、トイレの扉の内面でした。

 

外側はなんの変哲もない白の扉のくせに(くせにって、それが普通なのだけど

こんな柄模様をみながら用を足したので、そんなふうについ当たりたくなった)

開ければそこは草間彌生も顔負けの柄ゆきが一面に広がり、

用があってここに入ったのに、

用を忘れてつい熱心に撮影してしまうというありさまだ。

冷静になどなっていられるものか。

それともこれに慣れろとおっしゃるのか。

これはCGっていうやつでしょうか?

おいくらくらいするのでしょう。

案外業者さんのご厚意で「今なら無料で片面だけポップ柄にいたします」と

いうことだってあり得る。

それにしたって、施すとしたら内側ではなく表側ではないか。

そうではなくて、

この駅を管理するグループ会社のトイレ改革担当者

(そんなひといるかどうかも存じ上げませんが)が、

ポップに用を足してもらいましょう!などと、

予算をこれに使ったとしたら、誠に残念すぎる選択である。

男性トイレはどうなっているのだろう。

そもそも男性トイレの個室の利用率すらもわからないから、

まったくの未知だけど、我が家のように

<トイレは性別にかかわらず座って用を足す>

というルールに則って(一般的に家庭のルールは妻がつくるほうが平和である)

生存している輩も最近はふえているらしいので、

男女へだたりなく誰にでも、

この<サプライズ>に遭遇する可能性はある。

そのときに、

もし紙がなかったら。

もし便座が氷のようなつめたさだったら。

このポップ過ぎる扉と、どのような気持ちで対峙すればいいのだろうか。

 

 

 クリスマスとラインに打てば暗闇に星そのあとの耳がつめたい

                 漕戸 もり