過日。
たしかに美味しいお酒とおつまみをいただいたはずなのだけど
柿しか覚えていない。
それから、
割り勘ではないけれど
割り勘にちかいくらいちゃんとお支払いしたというのも覚えている。
これを覚えているからってなにが悪いというのだろうか。
いい奥さんになりそうですね、くらい言ってほしいものだ。
※たとえだれかの妻であっても、だ
 
この柿は、同伴者が本日行った二か所の営業先でもらったというので、
二件目のバーでとくべつに剥いていただいたもの。
左は柔らかめ。右は硬め。
柿ですら自己主張甚だしい。
それでいい。
同伴者は柔らかいほうを、わたしは硬いほうを
さいしょから決まっていたかのように選ぶ。
さくさくと噛みくだきながら
柔らかい柿をくちいっぱいほおばる同伴者を傍らにかんじながら、
どことなく超えられない川というものを知ってしまったような気がした。
こんな歳になってから知ることは、
だいたいにおいてつまらないけれど実に重たい。
 
   柿落葉足裏に壊れて気づく  漕戸 もり