いつものように、
仕事の原稿や経理関係書類をエクセルで作業して
それをメールで関係各部署に送ろうとすると、
ついさきほどまで支障なく動いていたメールの送信に
エラーメッセージが出て、急に送れなくなってしまった。
これは相当やばい。
そもそもパソコンを使いこなしていない。
メールとExcelと原稿用紙と、ときどき音声作成くらいなので
どこをどうやって直せばいいのか皆目見当がつかない。
アカウント?アップデート?受信はできるようだが。
グーグルで検索。どれも試してみた(つもり)けれど、
エラーメッセージが出てメールが送れない。
そこで旧知の友人であるカメラマンで機械博士のO氏に電話。
O氏には、撮影でお世話になることももちろんあるのだけれど、
近頃は人物よりも商品媒体を主に活躍しているので、今では
パソコン関連のヘルプのときに助言を求めることが多い。
最近だと、前のパソコンに不具合があって
家電店のお兄さんが
「電源入れてメッセージ通りにすすめていけばすぐに使えますよ」と
ラップですか?というくらい軽快に言うのを真に受けて、
Lenovoのディスクトップを購入したのはいいけれど、
本体の組み立てをして、どれどれマウスは、と手にすると
マウスの電池の入れかたがわからない。
(電池を入れるところに薄いプラスチック板が入っていて、
これを取り除かないと電池を入れても電流は流れない
ということがまずわからなかった)
O氏に助けを求めるのは必然であった。
O氏は魔法使いのように右に左にとわたしに指示を出して
みるみるうちにあたらしいパソコンはわたしの相棒になったのだった。
 
(Oさ~ん。メールが送れません)
ラインのやり取りでも埒が明かないので、電話。
それでもやはり解決しないので結局リモートアクセスで繋いで、
博士遂にわたしのパソコンに君臨したという次第。
 
え~アップロード全然してないね(笑)
お~アプリ使ってないね(使いこなしていない)(薄笑)
は~これは俺にもわからんなぁ~(微笑)
わたしも的を得ていないので、ラインのやりとりのとき、
メールはなに使ってる?と聞かれて、
ドメインがoutlookなので「アウトルックだとおもう」と
伝えていたのだけど、メールはマイクロソフトだぞぉと教えてもらう。
パソコン相棒説撤回である。
バディだと思っていたのはわたしだけで、
あなたは実は赤の他人だったのね、と急にさびしい。
 
結局、博士曰く
「マイクロソフトの使用ポートがどうのこうの(以下省略)」らしく、
そのうえ、マイクロソフトのメールは使いにくいからと、
サンダーバード?とかいう謎のメールアプリをさくさくと入れて
問題は解決した。
そのうえ、博士に感謝を述べて通信を終え、改めて以前のメールで
メールを送信してみたら、ちゃんと元通りになっていたのだ。
博士はいったいわたしの相棒になにをしたのだろうか。
健康保険証も運転免許証すら一枚のデータになりつつある世の中で、

年功序列で死んでけ、と言われているような気もちになる。

 

それにしても持つべきものは友である。

実は先週末、数十年のつきあいで

それこそある意味相棒だとおもっていた友人に

助けてもらいたい案件があったのだけれど、

案件自体が二転三転することで、おもいがけない叱責を受けた。

ほんとうに困っていたので、掛け値なく手伝ってくれると

甘えていたわたしが不用意だったのだ。

あなたのために(当然命にかかわることは除く)なんでもする、という

ことと、だからあなたも当然してくれるでしょう、ということはちがう。

人生も折り返し地点に来て、

たいせつな相棒を得ることも失うこともある。

どちらかといえば、こうやって自然に整理整頓されて

少なくなるほうが多い。

でも、それでいい。

ほんとうにたいせつなひとだけが数人いればいい。

そして、あなたのためになんでもする、という友人は

案外すこし遠くにいるのかもしれない。

相棒を失いかけたり、救世主が現れたり、

完全に相棒ではなくなったひとと心でさよならしたり、

こんなに喜怒哀楽を味わっているのに、こういうとき

短歌や俳句は、詠めず読めず過ぎてゆく。

 
 
 どのくらいの力を入れたらいいのだろう石榴ジュースのこちらに居りて
               漕戸 もり